筑波大 寄宿料値上げ延期 当局「増額は決定事項」→学生が声上げ動かす

筑波大学(茨城県つくば市)が4月1日に実施するとしていた、宿舎の利用料の値上げを延期することを3月23日までに学生に通知しました。値上げ撤回を求めてきた院生は、「多くの学生が今回の措置に疑問を感じて声を上げたことで、大学が『思慮が足りなかった』と認知した」と話します。

筑波大の宿舎は、筑波大の資料によると3,517室あり、2024年度は新入生の約4割が入居。筑波大は、「近隣アパートに比べて安め」、「友達作りも簡単」と宣伝しています。筑波大は昨年12月、寄宿料を4月から最大2.1倍に値上げする方針を学生に伝えました。

■生活が困難

宿舎に5年間居住してきた院生の中村規広さん(23)=仮名=はひとり親家庭。学部時代から日本学生支援機構の給付型奨学金と授業料免除、民間財団の奨学金を利用し、宿舎に居住し続けてきました。

中村さんはあと1年は学部時代のバイト代などの貯金で生活するつもりでした。「値上げにより、民間物件に移動することになれば今まで低廉だった家賃や光熱水費が値上がり、貯金を切り崩しながらの生活が困難になります。定期的に海外調査を行うためにも、生活費を低く抑えなければやっていけない」と強調します。

全学生を代表する全学学類・専門学群・総合学域群代表者会議(全代会)は1月7日に値上げを1年延期し、学生と合意形成することを筑波大に要請しました。全代会が800人から集めたアンケートによると、82%が通知時期が「遅かった」と回答。値上げを理由として26年度は宿舎に居住したくないと回答した学生は33%、退去するか迷っていると回答した学生は32%、継続して居住すると回答した学生は21%でした。

一方、筑波大は1、2月の説明会で「値上げは決まったこと」として学生に理解を求めました。中村さんら居住者は、「寄宿料増額の撤回を求める会」を結成。宿舎に住んだ経験がある指宿昭一弁護士を代理人に、3月2日に筑波大に「増額の撤回もしくは延期」を要求。大学との交渉を申し入れました。

2月の説明会には障害のある学生が参加し、唯一バリアフリー対応の宿舎が2.1倍値上げされ、月9万2750円になることについて質問しました。その後学生部が現地を視察。今月16日の説明会には理事が参加し、18日に延期を通知しました。

■撤回へ交渉

値上げの実施時期を変更する理由について、筑波大は「一部の学生にご理解いただくには至っていない状況」にあるとして、学生と大学が「対話を行う時間を確保するため」としています。

代理人の指宿弁護士は、宿舎は大学が主張する「行政財産」ではなく借地借家法が適用されるとして、「賃貸人による賃料増額には、当然、賃借人である学生の同意が必要です」と話します。

撤回を求める会は今後も大学に対し、▽増額の撤回▽増額の理由(計算根拠を含む)と法的根拠の説明▽寄宿料改定の決定手続きの策定─を求めていく予定だといいます。中村さんは、「大学はこのような混乱を引き起こさないよう、執行部は当事者学生に説明の場を設けてほしい」と願っています。

(「しんぶん赤旗」2026年3月24日付より転載)

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