医師・患者に“冷や水” 厚労省 公立・公的病院再編リスト 茨城

24時間365日、住民の命と健康を守るために努力を重ねている公立・公的病院に衝撃が走りました。
ベッド数削減のため再編議論が必要だと厚生労働省が424病院のリストを公表したのです。
名指しされた病院や自治体関係者はどう受け止めたのか。茨城県内を訪ねました。

霞ヶ浦医療センター

「病院も軌道に乗って、これから地域に恩返しできると思っていた矢先に冷や水を浴びせられたようなもの」。
名指しされた国立病院機構・霞ヶ浦医療センター(土浦市)の鈴木祥司院長が語気を強めます。

東日本大震災の時は津波被害にあった福島の病院から自衛隊ヘリで患者を受け入れました。
年間のべ1,000人超の住民が敷地内の草刈りボランティアに参加するなど、「国立」「霞病」と呼ばれ親しまれています。

日本共産党の梅村さえこ前衆院議員(衆院北関東比例予定候補)、山中たい子県議、久松猛・土浦市議、田子優奈・土浦市議、佐藤文雄・かすみがうら市議、小松豊正・石岡市議は11月1日、鈴木院長と懇談しました。

鈴木院長は、病院再編で名前があがったことに戸惑いつつも、地域医療の拠点として活動していることを説明しました。

鈴木院長は、厚労省の病院評価手法にも疑問を呈します。
「診療実績が特に少ない」と見なされた項目に「周産期医療」が含まれていたからです。西田正人名誉院長(産婦人科)は、国内初の子宮温存手術を手がけ、周産期医療で先駆的役割を果たしてきました。

「2017年6月の診療実績だけで判断した偏った指標です。この月は、通常よりたまたま半分以下だっただけ」といいます。

2004年の独立行政法人化や新臨床研修制度に伴う常勤医師の減少から、一時期存亡の危機に立たされました。
住民の「何としても病院を残したい」との熱意を背景に土浦市の寄付制度が発足。地域医療の拠点として力を注ぐ中で、医師数も回復、救急車の受け入れ数も低いときとくらべ10倍以上。病院収支も黒字化を果たしました。

施設が50年前の建物のため、「次は設備投資」と思っていた矢先の今回の報道。患者や住民から存続の署名運動をしようとの声もあがりました。

霞ヶ浦医療センターの看護師は、厚労省は現場が分かっていないと語ります。
「うちの病院は昔から保健師などと連携し、いち早く地域医療で貢献してきた自負があります。看護師として目の前の患者さんに集中するだけです」。

地域医療のリーダーを育成したいと意気込む鈴木院長は、「女性にやさしい医療拠点として『女性センター』をつくりたい」と前を見据えています。

村立東海病院

村立東海病院(東海村)も厚労省のリストに載った一つ。村内の80代男性は東海病院に入院中、病室のテレビで今回の報道を知り驚きました。「昔から通っていたのに困る。ここは整形外科の評判がよくてね」と病院存続を願います。

東海病院は、2006年に地域医療振興協会による指定管理に移行する際、地域医療の要としての役割を果たすことを約束させた経緯があります。院内の手すりの数など建物の細かいところまで村議会の意見も提出して決め、村民からも「おらが病院」と無くてはならない医療機関です。

日本共産党の大名美恵子村議も、「病院の隣に病児・病後児保育も併設され、子育て世代も助かっています。さらに地域医療で貢献してほしいと期待されていたのに、なぜ狙われたのか疑問」と憤ります。

東海村福祉総務課の佐藤秀昭課長は、「住民の健康と安心できる医療を守るのが村の使命」と述べ、現行の医療機能を維持していく考えです。

山中県議は訪問を終え、語ります。「病院関係者や地域住民と力を合わせ、住民の健康・命を守る立場で病床削減のための再編をしないよう、県や国に働きかけたい」。

(吉岡淳一記者)

424の公立・公的病院再編リスト

病院ベッド数削減を迫る2025年の地域医療構想に向け、厚労省が9月に「再編や統合の議論が必要」とみなして公表した公立・公的病院などのリスト。
医療・自治体関係者から地域医療の崩壊につながりかねないと抗議が殺到し、厚労省は釈明におわれました。
全国知事会、全国市長会、全国町村会は3会長連名で「極めて遺憾」とコメントを出しています。

(「しんぶん赤旗」2019年11月10日付より転載)