鬼怒川水害 国の責任問う 控訴審判決前に被害現場見学会 茨城・常総
2015年9月に発生した茨城県常総市の鬼怒川大水害で、国の河川管理に落ち度があったとして住民らが国を訴えた裁判は、2月26日に控訴審の判決が言い渡されます。原告団の住民らは17日、判決を前にメディア向けに水害現場の見学会を行い、「国の河川管理はこれでいいのか。国に反省してほしい」と強調しました。

若宮土の砂丘林が堤防の役割を果たしている状況を説明する高橋氏=2月17日、茨城県常総市
関東・東北豪雨が引き起こした水害で堤防が決壊し、市内の約3分の1が浸水しました。訴訟で原告側は、若宮戸地区の「砂丘林」を民間業者が掘削してきた結果、水があふれたとして、国が掘削を制限する「河川区域」に指定すべき対応を怠ったと主張。22年の水戸地裁判決は砂丘林が堤防の役割を果たしたとして、国の河川管理の不備を指摘し、一部勝訴となりました。
控訴審で、国は砂丘林を堤防とは認めず、整備の必要はないと主張しています。これに対し、原告団の高橋敏明氏は、国が砂丘林を堤防と見なして調査した11年の記録を記者団に提示。砂丘林は高さ25.5メートルにも達するとして、「古来からの自然の力で作り上げられ、堤防の役割を果たしてきた。早く堤防整備を進めるべき場所だ」と解説しました。
他方、鬼怒川の下流域で最も高さが低い上三坂地区の堤防が決壊したことについて、一審では国の責任は問われませんでした。原告団の片倉一美共同代表は、国が堤防の安全性基準としている「スライドダウン評価」では、高さより幅が重視されていることに言及。「本来なら低い堤防から直すべきだ。今の国の河川改修の考え方を変えてほしい」と訴えました。
(「しんぶん赤旗」2025年2月21日付より転載)