一途な忠犬タロー 茨城・石岡の実話を映画化 石坂アツシさん
「タローのひたむきな一途さを描きたい」─。
映像作家の石坂アツシさん(58)が、監督を務める映画『石岡タロー』へ意気込みを語ります。
(茨城県・高橋誠一郎)
“忠犬タロー”。1964年にJR石岡駅(茨城県石岡市)で飼い主とはぐれ、迷い込んだ市内の小学校で飼われた茶色の雑種犬です。
以来17年間にわたり飼い主を待ち続け、小学校から駅までの約2キロの道のりを毎朝夕、通いました。
飼い主に会えないまま81年に死んだタローですが、地元で語り継がれ、石岡駅の発車メロディにタローを題材にした楽曲が使われるなど、長年親しまれてきました。
今では、幼稚園児だった当時5歳の女の子が飼い主だったことが分かっています。
映画は自主制作で、石坂監督が脚本を手がけます。
県内で応援団を募り、タロー役の犬や飼い主の女の子役などエキストラ、小物やロケ地、協賛金への協力を呼びかけています。
監督自身、茨城出身ではありませんが、「タローのいちずさに魅了された」のが映画制作のきっかけ。
“商業都市”として発展し、行商人が行き交った当時の街を再現し、今は廃線となっている「鹿島鉄道」の実物車両が登場するのも見所です。
ただ、新型コロナウイルスの影響で撮影準備が遅れるなど困難も。
自身初となる長編作品で「すべてがチャレンジ」と話します。
「茨城が生んだ物語。地元の人とタッグを組んで盛り上げたいし、全国に発信する達成感を茨城の人たちと味わいたい」。
来年の県内上映と全国公開をめざし、制作が進みます。
(「しんぶん赤旗」2020年10月13日付より転載)