濁流 車も農機具も 堤防決壊、甚大な被害 茨城・常総

記録的豪雨で茨城県内を流れる鬼怒川の堤防が決壊し、住宅地や農地に濁流が流れ込み、甚大な被害を被った常総市。
堤防決壊から一夜明けた9月11日は久しぶりに日差しが降り注ぎました。
市役所に近い場所でも多くの家屋や車が濁流にのみ込まれ、ドラム缶や古タイヤ、発泡スチロールなどのごみが一面に漂っていました。

濁流に飲み込まれる民家と農地=9月11日午前、常総市

濁流に飲み込まれる民家と農地=9月11日午前、常総市


鬼怒川と並行して流れる小貝川の堤防から、1階部分が水没した自宅を眺めていた女性(61)は、「とにかくお金と通帳を持って自力で脱出しました。いつになったら(自宅に)戻れるのか、家財道具は使えるのか。農機具も、収穫したばかりのコメも全部水に浸かってしまった」とぼうぜんと立ちつくしていました。
「つくば市の娘夫婦のところに身を寄せている」という男性(73)は、「市役所の無線放送がよく聞こえなかった」と指摘。
鬼怒川と小貝川を結ぶ堀の水門管理にも問題があったのではないかとの見方を示しました。
「市役所の近くに住んでいる」という男性(72)は、「水がたまっていて自宅には近づけない状態。家がどうなっているのか心配だ」と話しました。

(茨城県・栗田定一)

ボートで救出された家族=9月11日午前、常総市

ボートで救出された家族=9月11日午前、常総市

共産党議員ら、救援に

記録的な豪雨により、鬼怒川が決壊し、濁流が市街地に流れ込んだ茨城県常総市。
11日、日本共産党の堀越道男市議、上野高志県議、小林きょう子参院茨城選挙区予定候補らが被災地に入り、被災者の要望を聞くとともに、救援活動にあたりました。

常総市の災害対策本部が設置された常総市役所の1階が10日深夜に浸水し、駐車中の車のほとんどが水没。
約400人の避難者と約400人の市職員、警察・自衛隊の関係者を含む約1,000人が事実上の孤立状態になり、市役所内に飲料水や食料を運び込むにも小舟やボートが必要な状況になりました。
日本共産党の議員らも、鬼怒川に架かる豊水橋の西詰めに車を置き、徒歩で市街地に入りました。
家具店の店主にカヌーを借りると、「いったん避難したが、夫が家の様子を見に行ったまま連絡がとれない。確認してほしい」という女性の要請を受け、カヌーを引き、ヒザ上まで水に浸かって安全にいることを確認。
住民から、近所に住むお年寄りについて「避難できているか心配」といわれ、その自宅を訪ね、避難していることを確認しました。
別の小舟で市役所に入り、災害対策本部に直行。
備蓄物資がある地域の防災倉庫の鍵が開かず活用できないで困っていることなど、つかんだ状況を伝えました。
高校3年と小学5年の2人の息子と避難した女性(47)は、避難指示を巡回車両のスピーカーで聞き、10日午後3時ころ、車で避難したといいます。
「多分、家は床上まで浸水しているでしょう。車も水没しました。けさ、カンパンと水、ビスケットをもらい、午後4時ころ、おにぎりをもらいました。携帯の充電が切れ、身内と連絡が取れないのが一番困ります」と話しました。

(原田浩一朗)

(「しんぶん赤旗」 2015年9月12日付より転載)

おすすめ