懲罰の乱用認めず 元古河市議の訴え棄却 水戸地裁支部

茨城県古河市議会でスマートフォンをさわる自民党会派議員を注意したところ、市議会多数派から懲罰を受けた議員(当時)が市に損害賠償を求めた訴訟の判決が7月16日、水戸地裁下妻支部でありました。森剛裁判長は、「適正な手続きを経た」懲罰だったとして、原告の訴えを棄却しました。

訴えていたのは2023年春まで市議だった長浜音一氏(市民ベースの会)です。引退前の同年3月の議会中に、自民党系会派「真政会」の黒川輝男議員がスマホを操作するのをみかけ、後ろから両肩をたたき声をかけました。

黒川氏は、「強くたたかれ『両腕のしびれと吐き気』がする」と騒ぎ、その日の内に「頸椎(けいつい)捻挫」などで「全治2週間」とする診断書が病院で出されました。

市議会では、自民・公明系会派などが長浜氏に陳謝文を朗読させる懲罰を議決。陳謝文は「黒川議員の肩を強打」、「全治2週間のけがを負わせた」とする内容で、長浜氏は朗読を拒否しました。さらに市議会多数派が長浜氏に議会への出席停止3日の懲罰処分を可決しました。

長浜氏は同年、市に110万円の損害賠償を求め提訴。黒川市議も「暴力」による損害賠償などとして950万円の損害賠償を長浜氏に求め、二つの裁判は併合して審理されていました。訴状によると、黒川市議は「頸椎捻挫」などを訴えています。

判決は、双方の訴えをいずれも棄却しました。判決は「傷害を生じさせるほど強度ではなかった」として、黒川氏の主張を否定。一方で、長浜氏への懲罰については「(提出された)診断書により(強打されたと)市議会の議員が考えたとしても不合理ではない」とし、懲罰の「乱用や違法なものとは認められない」としました。判決は、出席停止が適切だったかについては言及していません。

(「しんぶん赤旗」2025年7月17日付より転載)

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