富栄養化、漁業権侵す 水戸地裁口頭弁論 霞ケ浦導水中止こそ
茨城、栃木両県の那珂川関係漁協が「漁業権を侵害する」として国を相手取り、霞ケ浦導水事業の那珂川取水口(水戸市)の建設差し止めを求めている裁判の第23回口頭弁論が7月18日、水戸地裁(日下部克通裁判長)で開かれました。
原告漁協側の専門家4人にたいする証人尋問を行いました。
石嶋久男氏(元・栃木県水産試験場職員)、浜田篤信氏(元・茨城県内水面試験場長)がそれぞれ、霞ケ浦導水事業がアユ、シジミなどの水産資源に重大な影響を与え、漁業権が侵害されることを浮き彫りにしました。
高村義親氏(茨城大学名誉教授)は、「那珂川から送水しても霞ケ浦の水質浄化は不可能」と証言。
「むしろ窒素濃度が高い那珂川の水が霞ケ浦で富栄養化を促進させることになる」と強調しました。
霞ケ浦導水事業の目的の一つにされている「新規都市用水の開発」について、嶋津暉之氏(水源開発問題全国連絡会共同代表)は▽トイレなどの節水型機器の普及による節水▽水需要の年間平準化(季節変動の縮小)▽人口減少の傾向─などをあげ、新たな用水の開発が不要になっていると指摘。
「暫定水利権を与えることで、水道事業者に事業への参加を強制している」と国の姿勢を厳しく批判しました。
(「しんぶん赤旗」首都圏版 2014年7月19日付より転載)