住民の声届く政治を 茨城県・大内久美子県議団長に聞く

茨城県では、今年12月に県議選がたたかわれます。
日本共産党の大内久美子県議団長(衆院茨城1区予定候補)に、3月議会を振り返り、県政の問題点、共産党の議席の役割について聞きました。

(聞き手・佐藤つよし)

大型開発には巨額の予算
3月議会で、自民、民主、公明などの「オール与党」の賛成で可決された2014年度予算は一般会計1兆904億円で、財政力は全国47都道府県の8番目です。
ところが、福祉や医療サービスの整備は軒並み全国最下位クラスです。
県がまとめた「指標からみたふるさと茨城早わかり」(2013年3月発行)でも、65歳以上の人口1000人当たりの老人ホーム数は40位、人口10万人当たりの医師数は46位、100病床当たりの看護師・准看護師数は42位です。
補助なし
今回の議会で、私は茨城空港の問題を取り上げました。
需要予測が年間81万人に対し、旅客総数は40万8千人とはるかに及びません。
搭乗10回で片道1回の料金を無料にしたり、チャーター便を運航する旅行代理店への補助など、茨城空港の利活用促進事業費は今年度当初予算で6億2683万円に及びます。
一方、通院や買い物の“足”として県内22市町村が実施し、茨城空港とほぼ同じ40万人が利用するデマンドタクシーや、20市町が実施し、200万人が利用するコミュニティバスには、県は1円も補助金を出していません。
耐震化の事業でも、県有施設の対策予算は約49億円、2015年までに、まだ県立学校27校の耐震化が残っています。
市町村が実施する小中学校の耐震化率は全国40位と遅れていますが、県独自の補助はありません。
ところが、国と一体となった大型公共事業の四つの港湾には、耐震化だけで83億円もの予算をつけています。
大型開発の整備費も、常陸那珂、日立、大洗、鹿島の4港湾には昨年度の1.6倍、221億円あまり(特別会計)、つくばエクスプレス(TX)沿線区画整理事業には昨年度の2倍、626億円(特別会計)を投入しようとしています。
売れ残った開発用地の破綻処理には当初112億円の予算を組みました。
2013年度は最終補正で大幅に増額し、351億円にもしてしまいました。
県民無視
県議会で、「オール与党」は予算や議案に賛成し、橋本昌知事とともに、不要不急の大型開発推進で県民に冷たい県政をすすめてきました。
消費税増税の中止を求める意見書や、全国第2の農業県の農家に大きな打撃となる環太平洋連携協定(TPP)からの即時撤退を求める意見書も否決しています。
水戸市も含めて30キロ圏内に100万人が生活する東海第2原発は、事故が起これば、避難自体が困難です。
県と関係自治体の避難計画策定の見通しも立っていません。
再稼働など認められません。
私は議会で、日本原子力発電が東海第2原発再稼働のための適合審査申請の動きを強めていることに対し、橋本知事に再稼働は認めないという立場を表明するよう迫りました。
ところが、橋本知事は「申請自体に異を唱える必要はない」「国が判断する」などと無責任な態度です。
日本共産党は、再稼働中止、廃炉を求め、県民運動と共同してとりくんでいます。
4議席を要求実現の力に
自民、民主、公明などの「オール与党」は、議会の運営でも、議員定数が65人にもかかわらず、1年間に本会議で一般質問できる人数を40人に制限し、代表質問も4人以上の会派にしか認めないなど、少数会派の発言機会を奪っています。
格差残る
2012年12月議会で、定数をさらに2削減し、63とする案を強行可決しました。
共産党が議席を持っている水戸市・城里町区(現・定数7)、筑西市区(現・定数3)など3選挙区で定数を1減らし、1選挙区で1増やすものです。
1人区は36選挙区中22と削減前と同じく6割にのぼり、1票の格差が2倍以上の選挙区も5つ残されたままです。
前回県議選前まで共産党が議席を持っていたつくば市区は、人口が増えているのに定数4のままです。
共産党は、1票の格差を1対2未満にすること、多様な有権者の投票が議席に結びつかない1人区、2人区を解消すること、一般質問や討論などの制限をなくすことなど、県民の声を正しく県議会に反映させるための抜本的改革を提案しています。
県に変化
昨年9月の筑西市の県議補選で鈴木さとし議員が当選し、共産党が2議席となったことで、県議会に変化が生まれています。
診察機能の縮小、医師不足が深刻な筑西市、桜川市の地域への「新中核病院」建設について、昨年10月、鈴木県議が「県が責任を持って関与し、救急医療の充実のため、強いリーダーシップを発揮してほしい」と要求。
橋本知事も「事態の打開に向けて最大限の努力をしたい」と答弁しました。
今年3月には、筑西、桜川両市が、新中核病院を筑西市が単独で建設・運営することに合意し、実現ヘ一歩前進しました。
鈴木県議の地元では、「鈴木さんが県議会に行って、県政が見えるようになった」と、期待の声が寄せられています。
議席が2議席に倍増したことで、県議会に単独で意見書案を提出することもできるようになりました。
共産党は消費税増税中止、TPPからの即時撤退、福島第1原発汚染水問題の抜本的対策、介護保険の「要支援外し」撤回、少人数学級の早期実現など、国政や県政にかかわる意見書案を提出。
「オール与党」の反対で否決されましたが、県民の切実な声を県政に届けるため奮闘しました。
県政刷新
12月の県議選で日本共産党は、江尻かな(新=水戸市・城里町区)、鈴木さとし(現=筑西市区)、山中たい子(元=つくば市区)、上野たかし(新=取手市・利根町区)の4予定候補の必勝をめざします。
4議席になれば、代表質問ができるようになります。一般質問の回数も増えます。
消費税大増税路線や集団的自衛権容認、社会保障の改悪をすすめる安倍自公政権の暴走と開発優先・福祉切り捨てを進める県政と対決し、県民の要求実現と県政刷新のために県民とともにたたかう政党が日本共産党です。
県議選での4議席獲得へ、全力で奮闘する決意です。
(「しんぶん赤旗」首都圏版 2014年5月14日・15日付より転載)

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