クローズアップ 「核ごみ」選定候補に市民驚き TVで知った 「金のため」なんて 茨城・常陸大宮市
8月31日に茨城県常陸大宮市で突如持ち上がった「原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)」の最終処分場地選定のための「文献調査申し入れ」をめぐり、市民をはじめ県内外から驚きと疑問、心配の声が日に日に高まっています。
(茨城・小池悦子)
8月31日午後、経済産業省資源エネルギー庁の久米孝次長が常陸大宮市役所を訪れて鈴木定幸市長と面会し、調査の申し入れ書を手渡しました。
会見で鈴木市長は、「国策に貢献する意義がある。何の調査もせずに議論の俎上に載らない。今の段階ではとても前向きに受け止めている」と述べました。
受け入れのメリットについて、国から交付される最大20億円を念頭に「お金の問題ですかね」と述べ、「デメリットは特にない」と即答しました。
市長表明に怒り
常陸大宮市は、県の北西部に位置し、人口は約3万5千人。市内の約6割を山林が占め、緑豊かな自然に恵まれています。水戸市から20キロほどと周辺人口も多い地域で、市内外から「なぜ常陸大宮なのか?」、「住民に何の説明もなく、いきなりテレビで知った」、「絶対に受け入れてほしくない。市長の『前向き』『メリットお金』『デメリットない』なんてあまりにも軽率」など、驚きとともに怒りがわき上がっています。
抗議行動に参加するのは初めてという70代の男性は、「金のために動くなんてとんでもない。市民に何も知らせないで決めるなんて民主主義じゃない。市民として黙っていられない」と、手作りプラスターを掲げ、9月18日、市役所付近で抗議アピールしました。

手作りプラスターを掲げる市民たちとともに抗議アピールに参加する小室市議(右から4人目)=9月18日、茨城県常陸大宮市役所付近
国が常陸大宮市へ申し入れる契機となったのは、市民有志9人が8月10日付で原子力発電環境整備機構(NUMO)に提出した、「市での文献調査実施を求める要望書」です。
国は8月21日、鈴木市長へ調査を依頼すると同時に、大井川和彦茨城県知事にも事務的な伝達をしていました。テレビ報道に驚いた近隣市の40代女性が、9月1日に市役所に問い合わせたところ、代表電話からつながった先ではNUMOの職員が応対している状況もありました。市への申し入れは用意周到に進められていました。
反対・抗議次々
日本共産党は9月1日、小室貞夫市議が鈴木市長に、江尻加那県議が大井川知事に、塩川鉄也衆院議員が経済産業省に抗議の申し入れをしました。

大井川和彦知事あての要望書を県原子力安全対策課の担当(右)に渡す江尻氏=9月1日、茨城県庁
以降は、県平和委員会、脱原発ネットワーク茨城、新日本婦人の会県本部、「核ゴミ」地層処分問題の全国声明に取り組む世話人、県革新懇、東海第2原発の再稼働に反対する茨城県自治体議員連盟、他市町村議員などが反対や抗議の申し入れをしています。
小室市議は、「市民の声を聞くことが重要だ」と強調。「市を二分する大きな問題であり、熟議が必要だ」として、非公開で進めた議員協議会の公開や調査特別委員会の設置なども求めるとともに、「市民との議論を深め、市民が納得のいく説明を尽くすことを求めていく」としています。
(「しんぶん赤旗」2026年9月24日付より転載)
