高浜機場が地盤沈下 霞ヶ浦導水中止・見直しを 江尻県議ら視察

地元住民「一面田んぼで地盤緩い」

日本共産党の江尻加那茨城県議は10月27日、石岡市高浜地区の霞ヶ浦導水事業の高浜機場で発生した、地下掘削工事の影響で地盤沈下した現場を視察しました。住民ら3人と高橋誠一郎党政策委員長も同行。国土交通省導水事務所副所長らから説明を受けました。

国土交通省の担当者から説明を受ける江尻県議

国土交通省の担当者(左)から説明を受ける江尻県議(中央)ら=10月27日、石岡市

国と県などが進める霞ヶ浦導水事業は、那珂川、霞ヶ浦、利根川の間を地下トンネル(導水路)で結び、それぞれの水を往来させることを目的に1984年に着工したもの。

今年7月には労務単価や資材高騰などを要因に、全体事業費は230億円増加し、計2,625億円になりました。着工から40年経過して、すでに事業費の8割を使い、来年度には那珂川から霞ヶ浦への試験通水を行おうとしています。

昨年夏から工事が始まった高浜機場の周辺約70ヘクタールでは、干拓農地内に地盤沈下が発生し、春の田植え準備などで農家の稲作に支障をきたしました。

視察で、江尻氏の質問に国は、「着工時には地盤沈下を想定できなかった」、「今年2月に工事現場に地下水が流れ込み、周辺の田んぼの水位が低下している状況を確認した」と答え、「今後は井戸を新設して、場内に入ってきた水を田んぼに戻すようにしていきたい」と述べました。

地元住民らは、「想定外は通らない。周りが一面田んぼの土地で、誰が考えても地盤の緩い場所だ」、「とにかく地盤沈下が早く止まってほしい。来年の田植えも心配だ。田んぼの作業に影響が出ている」などと訴えました。

視察後、江尻氏は「多額の税金を投入して導水トンネルを完成させたとしても、霞ヶ浦の浄化や那珂川と利根川の渇水対策にはつながらない。事業費の増額は水道料金にはね返ってくるもので、引き続き導水事業の中止や見直しを求めていきたい」と語りました。

(「しんぶん赤旗」2025年10月28日付より転載)

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