常総水害 二審も賠償命令 住民側は上告方針 東京高裁
2015年の関東・東北豪雨により茨城県常総市で鬼怒川の水があふれたり堤防が決壊したりしたのは国による河川管理に瑕疵があったとして、住民らが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が2月26日、東京高裁でありました。中村也寸志裁判長は一審判決に続いて、国に一部の住民に対する計約2,800万円の支払いを命じました。
一審の水戸地裁判決は国に原告9人への約3,900万円の支払いを命じましたが、二審では主に家財の損害額認定が低くなり減額。住民側は上告する方針を明らかにしました。
溢水が発生した常総市若宮戸地区では、川のそばの砂丘が民間業者に掘削されていました。
判決は、砂丘が実態として堤防の役割を果たしてきたと認定。にもかかわらず国が長期間にわたって、掘削を制限する「河川区域」に指定していなかったことが「河川管理についての瑕疵に当たる」と判断しました。
堤防が決壊した上三坂地区については、国による堤防の安全度評価が「十分な合理性を有している」として、一審に続いて賠償請求を退けました。
若宮戸地区の高橋敏明氏は、「一審に続く勝利ではあるものの、喜べない内容だ。国は河川管理の不備を認めたのなら、被害者にきちんと賠償すべきだ」と怒りをあらわにしました。
住民の代理人の只野靖弁護士は、「水害訴訟では国に勝てない『冬の時代』が続いてきた。一部でも国の責任を認められたのは重い」と評価しました。
東京高裁には国と住民の双方が控訴していました。
(「しんぶん赤旗」2025年2月27日付より転載)