水戸市民会館差し止め訴訟 市長の裁量権逸脱認めず 地裁が判決
7月に開館する水戸市民会館が、地方自治法などが定める「最少経費原則」に違反するとして、住民が261億円余りの事業費の返還と6億6500万円余りの損害賠償を高橋靖市長に求めていた一審の判決が6月15日、水戸地裁でありました。
廣澤諭裁判長は、「(市長の)裁量権の逸脱・乱用は認められない」と述べ、住民側の訴えを棄却しました。
原告団と弁護団は、「公共事業の無駄遣いを司法の立場でチェックしようとせず、無駄な公共事業を積極的に奨励するものにほかならない」とする声明を発表しました。
判決後の報告集会で谷萩陽一弁護団長は、「不当で残念な結果だ」と主張。
水戸市民会館での3,000人規模のコンベンションについて、政令指定都市での開催実績を参考にしていることや、不足する駐車場の問題などを指摘し、「検討内容の不合理を指摘したが、裁判所は『検討さえすれば良い』という主張だ。行政のやっていることを追認するものだ」と批判しました。
田中重博原告団長(茨城大名誉教授)は、「極めて不当な判決。市民会館の運営など、監視を続けていきたい」と力説。控訴について今後検討するとしました。
不当判決屈せず 日本共産党 田中真己・水戸市議団長の話
新市民会館を最も高上がりな場所に立地し、市にとって大きすぎる施設で、事業費は当初の5倍にのぼっています。
到底認められない判決で、これがまかり通れば行政は市長のやりたい放題になります。不当な判決に屈せず、今後も市民の皆さんと税金無駄遣いのチェック役を果たしていきたいと思います。
水戸市民会館差し止め訴訟
東日本大震災で被災した市民会館を移転・新設する市の事業をめぐり、事業費が過大だとして支出の差し止めなどを求め、2019年12月に住民16人が提訴したもの。
当初68億円の事業費が353億円に膨れ上がっているとして、住民側は「市長の裁量権を逸脱・乱用している」と主張していました。
(「しんぶん赤旗」2023年6月16日付より転載)