在留資格ない高校生の授業料 免除実現 茨城県で初 共産党議員と母の要請実る
在留資格がない「仮放免」の状態で茨城県古河市に住む母子家庭の母親が、県立高校に通う自身の子どもへの教育費負担の軽減を求めていた問題で、県は5月22日までに授業料を免除することを決めました。
県によると、在留資格がない生徒への適用は、把握できる範囲で初めてのケース。日本共産党の秋庭繁古河市議と江尻加那県議が母親からの相談を受け、県教育庁に対し、授業料免除などを含む教育の保障を求めていました。
20年ほど前にフィリピンから来日した母親のアルシアさん(45)=仮名=は現在、長男ナサニエルさん(15)=仮名=と2人暮らしです。
在留資格がない場合、国が就労や生活保護の申請を禁じる下で、アルシアさんは食材や日用品の確保などを地域に住む友人や民間支援団体などに頼らざるをえなくなっています。
難民認定を求めた3回の裁判はいずれも認められず、自身と長男2人分の「仮放免」申請を3か月ごとに更新しています。
ナサニエルさんは今春から県内の県立高校に進学したものの、家計は困窮を強いられ、秋庭市議に相談。アルシアさんは今月、両議員とともに県教育事務所を訪れ、毎月の授業料など教育費負担の軽減を求めました。
県は交渉を受け、月額9,900円(年11万8800円)の県立高校授業料の免除を決定。県教育庁の担当者は、「聞いた話をふまえ、生活が困難な状況にあると判断した」としています。
江尻氏は、「直接声を届けたことで県が認めてくれ、大きく動かすことができた。県としては初めてのケースで大事な前例になった」と強調。
秋庭氏は、当時小学生だったナサニエルさんの実情をふまえ、就学援助制度要綱を改正して適用を認めた市の対応に続く県の決定を評価。「実情をしっかり聞いてもらい、知恵を出していただいた。今後も見守っていきたい」と話しています。
(「しんぶん赤旗」2023年5月23日付より転載)