改憲許さぬ意思表示 自費で「9条の碑」建立 北茨城・伊藤満さん

「憲法改悪に抵抗しないわけにはいかない」─。
茨城県北茨城市に住む伊藤満さん(72)は、憲法記念日の5月3日、憲法9条が掲げる平和主義の尊さを知ってもらおうと、自費で「9条の碑」を建立しました。

ロシアによるウクライナ危機に乗じた改憲の動きが高まる中、伊藤さんの思いは─。

(茨城県・高橋誠一郎)

御影石を用いた碑は高さ約170センチメートル、幅約60センチメートル。
表面には9条の条文が書かれた銘板をはめ、「9」をかたどった部分からは顔をのぞかせ、記念撮影ができるデザインです。

「観光地に顔をはめる看板があるじゃないですか。あれを真似て発泡スチロールで模型を作り、地元の石材屋さんにお願いしました。ただの石碑だと面白くないと思って」。

20代の頃、「満州」(中国東北部)の雪原で妻を思いながら絶命した捕虜を描いた小説『人間の条件』(五味川純平著)を読み、平和を意識するようになりました。その強い思いが、北茨城市での「9条の碑」の建立に結実しました。

ロシアのウクライナ侵略に胸を痛める一人です。「本当に腹立たしい。そこに改憲論議を進めようとする動きも腹立たしい。どっちも頭にくる」。

「石碑にずっとスタンディングをやってもらっているつもり。改憲をさせない私の意思表示」と力を込めます。

石碑の裏面には9条に込める伊藤さんの思いが刻まれています。「戦争と戦力保持の禁止は人類の崇高な目標であり理念」、「憲法第九条の制定と実現はその確かな道」。

(「しんぶん赤旗」2022年5月14日付より転載)

おすすめ