東海第2原発 避難所の面積拡大 茨城県、共産党の質問受け見直し

茨城県は、日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の「広域避難計画」について、感染症対策を盛り込んだ自然災害時の「避難所運営マニュアル作成指針」を適用するとして、関係市町村に1人あたりの避難所面積の拡大など、計画の見直しを伝えていたことが分かりました。

(茨城県・高橋誠一郎)

県はこれまで、原子力災害の避難所は、体育館などの居住床面積を2平方メートルで割って収容人数を想定。
日本共産党県議団は、「県民を1人2平方メートルに押し込める計画は、人格権を侵害し、県民の命は守れない」と追及してきました。

これを受け、県知事は「感染症対策をふまえた避難所レイアウトのあり方について検討する」(6月15日の県議会予算特別委員会)と答えていました。

再調整が必要

「指針」によると、1人あたりの面積はパーテーションテントの有無に応じて場合分けされ、テント設置の場合は3平方メートル(一部設置で3.5平方メートル)、テントを使わないテープ区画の場合は約4.5平方メートル(いずれも通路を含む)に広げます。

県内で計画の策定が義務付けられている自治体は、周辺30キロ圏内の14自治体で、「策定済み」となっているのは大子町など5市町のみ。今回の「指針」で、新たな避難所確保の問題が生じ、策定自治体は避難先との再調整が必要になります。

「策定済み」の笠間市は、栃木県小山市、真岡市、下野市の3市と上三川町、壬生町の2町に約3万6千人(約1万4千世帯)を避難させる計画です。

笠間市の担当者は、「(拡大により)避難先でどれだけの面積が確保できるか、県が全体的な調整をしている段階だ」と説明。
「策定済み」の理由については、「『現時点での計画』という判断。今後ブラッシュアップしていく(完成度を高める)」と話しています。

廃炉しかない

日本共産党県議団は、「東海第2原発を廃炉にし、すべての使用済み核燃料を乾式貯蔵容器に保管すれば、計画そのものが必要ない」と指摘。

江尻加那県議は、「県民の生命や負担を考えると本気で言うなら避難計画は成り立たない。そもそも避難できたとしても、元の暮らしに戻れないのが原発事故。東海第2原発は廃炉しかない」と知事の決断を迫っています。

3月の水戸地裁判決は避難計画の不備を指摘。
「人格権侵害の具体的危険がある」として、東海第2原発の運転を認めない判決を言い渡しました。今後、東京高裁の審理が行われます。

(「しんぶん赤旗」2021年12月7日付より転載)

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