産廃処分場整備に不安 計画撤回求める署名広がる 茨城・日立
茨城県が日立市諏訪町で進める「新産業廃棄物最終処分場」の整備計画。地元では不安の声が相次ぎ、署名運動も広がっています。
(茨城県・高橋誠一郎)
環境への懸念
県は昨年5月、「日立セメント」が所有する、日立市の太平田鉱山跡地を候補地に挙げました。近くを鮎川が流れ、市民憩いの「諏訪梅林」や保育園が立地する地域での整備計画に戸惑いの声が広がりました。
「一度壊れた自然は戻ってこない」―。説明会で相次いでいるのは自然や生活環境への懸念です。
道路整備を決める前の選定過程では、山林伐採の必要がなく、経済性にも適しているとして諏訪町を評価。しかし新設の道路は山林を切り開く計画で、巨額の事業費が見込まれ選定の根拠が崩れています。「選定基準が覆っても造る理由は何なのか。選定そのものを撤回すべき」との意見も出ています。
また、産廃車両は市内中心部を縦断する国道6号を往復します。「ただでさえ渋滞している状況を把握しているのか」。県は説明会で、検討過程で交通対策の専門家を加えていなかったと明らかにしました。
住民の立場で
処分場整備をめぐり、撤回を求める署名が広がっています。「県産業廃棄物最終処分場建設に反対する連絡会」は昨年10月から署名に取り組み、1万2700人分の署名を小川春樹市長宛てに提出しています。
連絡会の荒川照明代表は、「市民全体の問題として、諏訪町に造ること自体が問題だということを訴えていきたい」と話します。
日本共産党の千葉達夫市議は、産廃処理は排出者が自らの責任で行うべきだと指摘。「自治体の役目は産廃を税金で処理するのではなく、住民の立場で処理現場を監視・指導すること。県は産廃処分場の建設を撤回すべきだ」と話しています。
(「しんぶん赤旗」2021年3月11日付より転載)