東海第2再稼働問題 茨城県広報紙に「避難計画」 「県がやるべきは廃炉」
茨城県は11月7日、日本原子力発電東海第2発電所(茨城県東海村)の「安全性の検証」や「広域避難計画」の検討状況などをまとめた「原子力広報いばらき」を84万世帯に配布しました。
東海第2原発の再稼働に関わって県が広報紙を発行するのは初めてです。県の広報紙発行に市民からは批判の声が上がっています。
(茨城県・高橋誠一郎)
市民が批判
東海第2原発は原子力規制委員会の運転延長認可を受け、原電が再稼働のための工事を2022年12月完了をめどに推進。
再稼働には県と東海村のほか、「新安全協定」により隣接5市の事前了解が必要になっています。
県内の脱原発団体「さよなら原発いばらきネットワーク」の川澄敏雄さん(71)は、「県は県民の“漠然とした不安を解消する”としているが、福島の事故を経験した不安は漠然なんてものではない。避難計画も何となく、ふわっとできつつあるという印象の宣伝に他ならない」と批判します。
日本共産党の江尻加那県議は、「いくら安全性を検証しても、危険をゼロにはできない。そもそも県がやるべきは、避難計画など作らなくて済むように廃炉を早急に決めることだ」と話します。
広報紙は東海第2の耐震補強や防潮堤の設置など、新規制基準を踏まえたとする「安全対策」について、一部図解入りで説明し、住民の避難先自治体を紹介。
避難の課題としてバス・福祉車両の確保などを列挙し、感染症対策を踏まえた対応は「検討中」としています。広報紙は県のホームページでも掲載しています。
県は、発行の理由に6月県議会で否決された「県民投票条例案」の審議を挙げ、「審議の過程で、県側の情報発信が足りないとの指摘を受けた。これまで発信の重要性は認識していたが、審議がきっかけで発行することにした」と説明しています。
(「しんぶん赤旗」2020年11月8日付より転載)