筑波大の軍事研究を批判 「社会的責任が欠如」 科学者講演会
筑波大学で防衛省から委託された大規模な軍事研究が行われている問題で、10月14日夜、オンライン講演会が開かれました。
軍学共同反対連絡会の池内了共同代表(名古屋大学名誉教授)が、軍事研究に手を染める心理について解明し、「科学者の社会的責任の欠如だ。国家の干渉・介入や防衛資金への依存を招く」と批判しました。
軍学共同反対連絡会の小寺隆幸事務局長は、筑波大学で進められている防衛装備庁からの委託研究が、敵基地攻撃能力を高める超音速ミサイルの開発につながり、先制攻撃に使われる可能性を指摘。
委託研究に応募する際の、筑波大学の審査のあり方に問題があると述べました。
池内氏は、この研究委託制度(5年間で最大20億円)について、簡単な書類で小さな研究センターが設立できるほどの“魅力的”なものだと説明。
応募する研究者の「防衛目的なら構わない」「民生利用されて役立つ」「どうせ誰かがやる」「これで戦争は終わる」など言い訳・居直りの心理を分析しました。
対照的に、「軍事不転用」の姿勢を貫く筑波大学のロボット研究者が活躍する事例も紹介しました。
さらに池内氏は、日本学術会議への政府の人事介入について、「学問の自由そのものの侵犯」だと指摘。
「自治の精神で権力の介入を許さず、文化の蓄積・発展という役割に誇りをもち、継承することが大学人の社会的責任だ」と呼びかけました。
主催は、日本科学者会議筑波大学分会など4つの科学者団体。
(「しんぶん赤旗」2020年10月16日付より転載)