市民・野党の共同で当選 五十嵐立青・つくば新市長に聞く
11月13日投票の茨城県つくば市長選で、幅広い市民と野党が共同して推した五十嵐立青(たつお)氏(38)が、自民党推薦の現職市長の後継候補らを破って初当選しました。
17日の初登庁を前に、市政運営に臨む思いなどを聞きました。
(聞き手・細川豊史)
“自分たちで変えられる” 市民は大きな体験をした
─つくば市では、現市長が強引に進めた、市民が望まない「総合運動公園」計画を、五十嵐さんも先頭に立って実現した住民投票(昨年8月)で、8割の反対を得て中止に追い込みました。
その流れが発展し、かつてない市長選になりましたね。
五十嵐
住民投票の経験は非常に大きかったと思います。市民の中で「自分たちの街は自分たちで変えるんだ」という機運が広がりました。
「どうせ運動公園は出来てしまう」というあきらめを越えて、党派を超えて市民が力を合わせて白紙撤回に追い込むことができた。
この成功体験が市長選でも大きな力になったと思います。
堂々と政策訴え 攻撃をはね返す
─他の陣営による「五十嵐は共産党」などと、事実を曲げた攻撃をはね返した市民の勝利でしたね。
五十嵐
私たちは正々堂々と政策、ビジョンを訴えました。住民は誹謗中傷にだまされませんでした。
怪文書が回っても、事務所には励ましの電話しかありませんでした。
共産党の滝口(隆一)さん=市議団長=にも大変柔軟に対応していただきました。
みんなが一歩自分をおさえて、自分の100点でなく、みんなの85点をめざした。これが結果につながったと思います。
私自身、共産党とは課題解決へのアプローチはちがう部分があっても、弱者に寄り添う姿勢は共通しています。
子どもと教育へ 税の“地産地消”
─新しい市長として、「市民第一の市政」をめざす考えをお聞かせください。
五十嵐
まず、「総合運動公園」問題の解決です。
専門家による検証チームをつくり、いつ誰が何を決めたのかを明らかにします。
それによって、市政を「ブラックボックス」から「見える化」します。
その上で、市がUR(都市再生機構)から購入した公園用地の返還交渉を行います。
税金は地域のために使ってゆく。特に、保育園、小学校、児童館の増設・改修など、子育て・教育のインフラに集中投資したい。
その仕事はスーパーゼネコンではなく、地元の業者に優先してお任せしたい。
私は「税金の地産地消」と呼んでいますが、地域でお金の流れをつくることが大切です。
自然も豊かで、子育てにも仕事にもいい街と言えるつくばにしたいと思います。
<茨城県つくば市の総合運動公園計画>
市北部に第2種陸上競技場やテニスコート、多目的グラウンド、総合体育館などを建設する計画で、総事業費305億円。
重い財政負担、不透明な用地取得の経過などに市民の批判が高まり、2015年8月の住民投票で反対が8割を占め、計画中止に追い込まれました。
(「しんぶん赤旗」 首都圏版 2016年11月16日付より転載)