「TPPは国の主権を侵す」 懸念相次ぐ 参院特別委員会 地方公聴会
環太平洋連携協定(TPP)承認案・関連法案を審議する参院TPP特別委員会は11月17日、北海道帯広市と茨城県水戸市で地方公聴会を開きました。
公述人から「TPPは国の主権を侵す」との懸念や、慎重審議を求める意見が相次ぎました。
日本共産党から帯広市で紙智子議員、水戸市で井上哲士議員が質問に立ちました。
水戸市での公聴会では、前日本医師会会長の原中勝征氏がTPPによる薬価の高額化や共済・保険などの分野で、国民の健康や権利が脅かされる危険性を指摘。
「TPPは国の主権を侵すものだ」と批准に反対し、国会での徹底審議を求めました。
農民運動茨城県連合会の岡野忠会長は、JA茨城が明らかにした国内対策を講じなかった場合の影響額を示し、「(生産額で)全国第2位の農業県である茨城で、農林水産物合計で年720億5千万円の減益が予想されている」と指摘。
「(農産物重要5項目を守るとした)国会決議に明らかに違反している。TPPは絶対に批准するべきではない」とのべました。
TPPに一定の理解を示した公述人からも、「(人件費が安いアジア諸国などの)新しい競合メーカーとの価格争いなど、不安要素はある」(自動車用ゴム等メーカーの田口昌也氏)といった懸念の声が上がりました。
TPP推進に怒り 会場前で抗議の唱和 巨大企業より地方の声 水戸
11月17日、水戸市で開かれた参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会の地方公聴会。
会場となった水戸市内のホテル前には、農民運動茨城県連などの民主団体の人たちをはじめ、広範な市民がかけつけ、衆院でTPP承認案と関連法案を強行採決した安倍政権に抗議するとともに、批准阻止と関連法案の廃案を訴えました。
この行動には、「国会批准絶対反対!」、「STOP TPP」などののぼり旗やプラカードを掲げた人たち50人余が参加。
「TPPは売国条約」「今すぐ撤退せよ」などの唱和を繰り返しました。
会場前にいた農民運動県連の村田深書記長は、「国会決議違反のものを国会が通してはならないでしょう。多国籍企業の利益にはなっても、国民の利益にはなりません。公聴会で地方の声を真剣に聞く気があるのでしょうか」と指摘しました。
埼玉県越谷市から訪れた女性 (63)は、「TPPは日本にとって、何ひとついいことがありません。農業だけでなく、医療でも国民が苦しめられるだけです」と話し、大洗町の男性(47)は、「TPPは格差を拡大し、国を壊すもの。まともに議論もされず、問題を隠し通して強行しようという姿勢は許されません」と怒りの声をあげました。
(「しんぶん赤旗」 2016年11月18日付より転載)