高エネ研の賃下げ是認 差額支払い認めず 水戸地裁土浦支部

高エネルギー加速器研究機構が2012年6月から14年3月まで実施した賃金減額に対して、高エネルギー加速器研究機構職員組合(全大教)の組合員6人が減額された賃金の差額分の支払いなどを求めた裁判で、水戸地裁土浦支部(新堀亮一裁判長)は7月17日、原告の請求をすべて棄却する不当判決を出しました。
政府は、2012年2月に成立した国家公務員に対する平均7.8%の賃金を減額する「賃下げ法」に準じて、独立行政法人・国立大学法人に賃下げを要請。
機構は、「運営費交付金の削減がなければ賃下げしない」との労働協約に反して、組合との交渉中に賃下げを強行しました。
独立行政法人・国立大学法人職員は、労働基本権が保障され、労働契約法が適用されるため、組合と合意することなく労働者の不利益になる就業規則の変更はできません。
判決は、労働協約で「運営費交付金の減額が実際に行われない限り、賃下げを実施しないとの合意が盛り込まれたと認めることはできない」と指摘。
就業規則の不利益変更について、「看過できないほどに大きいものとまでは評価することはできない」としました。
原告団は声明を発表し、「労使自治の精神をないがしろ」にし、「国からの要請」を理由に賃下げを是認したことで、「民間とも違う無権利状態に置かれてしまったということを意味する」と批判しました。
原告は、東京高裁に控訴する予定です。
(「しんぶん赤旗」 2015年7月28日付より転載)

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