破綻ずみ開発、“原子力ムラ”優先から 原発廃炉 新中核病院を 茨城県議会
茨城県議会第3回定例会は9月25日、94億9,900万円にのぼる一般会計補正予算案、港湾事業特別会計補正予算案、条例案などを原案通り可決して閉会しました。
補正予算案について日本共産党県議団は、▽計上額の9割以上が公共事業▽県民に身近な県単独事業が7%しかない▽財源を県債に求めており、県財政をさらに悪化させる▽港湾整備費に11億円も計上している─などとして反対しました。
今議会では代表質問に4人、一般質問に12人が登壇。
自民党の各議員は企業誘致や茨城空港の振興、圏央道の沿線開発などを当然のように要求。
すでに破綻している“呼び込み型”開発をあおってきたことには反省がないようです。
工業団地値下げ
橋本昌知事は、県民の血税を投入して造成した工業団地の分譲価格を値下げする考えを表明。
企業の顔色をうかがっていますが、売れ残り工業団地の完売見通しはありません。
過大な需要を見込んで開港された茨城空港について、自民党議員は「国内線は必ずしも定着していない。国際線も1路線とはさびしい」と“計画倒れ”を嘆き、就航している国内線全便を経営危機が指摘されているスカイマーク社の運航に頼らざるをえない現状も浮き彫りになりました。
公明党議員は、「日本原電が所有する原発を廃炉にした場合、資産が目減りし、原電はもとより、債務保証をしている電力会社の経営を脅かす懸念がある」と述べ、国民、県民の安全よりも、“原子力ムラ”の利益、権益を優先させる考えを露呈しました。
これに対して、共産党の鈴木さとし議員は一般質問で、福島第1原発事故を例にあげ、「人類と原発は共存できない」と力説。
「東海第2原発(東海村)の再稼働を認めず、国と原電に廃炉を主張すべきだ」と迫りました。
また、地元住民の悲願になっている新中核病院建設について、「一刻も早く救急医療とがん診療体制を確立し、その機能を持つ新中核病院の建設は重要」と強調し、県の財政支援を強く求めました。
霞ケ浦の生態系
大内久美子議員は予算特別委員会で、霞ケ浦導水事業の中止や、つくばエクスプレス沿線の人口・児童の急増地区への小学校新設に向けた支援策、県財政を圧迫する“呼び込み”型の開発県政から、県民の暮らしを優先する県政への転換を迫りました。
このなかで、霞ケ浦で生息が確認されているカワヒバリガイやアメリカナマズなどの特定外来生物が導水事業によってアユの宝庫・那珂川に生息域が拡大される危険性を指摘。
「生態系が破壊される」「県内で水は余っている。事業費増などで県と市町村財政を圧迫し、高い水道料を県民に押しつけるものだ」と述べ、事業からの脱退を求めました。
橋本知事は、「生態系の影響については、国交省が適切に対応するものと考えている」などと答え、国まかせの姿勢に終始しました。
12月に迫った県議選(12月5日告示、14日投票)は、安倍政権の亡国政治への審判であるとともに、「産業大県づくり」を掲げ、大型開発優先をひたすら突き進み、県民のくらしを削る橋本知事と、それを支える自民、公明、民主、無所属の「オール与党」の責任を問う選挙です。
県議選で共産党の議席を伸ばすことこそが、県政転換の展望を開き、県民の暮らしを守る確かな力です。
(「しんぶん赤旗」首都圏版 2014年10月9日付より転載)