再稼働へ審査申請 日本原電 老朽の東海第2原発

日本原子力発電は5月20日、東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働に向け、新規制基準への適合性審査を原子力規制委員会に申請しました。
1978年の運転開始から35年以上たっており、これまで審査を申請したなかで最も古く、東日本大震災の津波で非常用発電機が故障するなど被災した原発です。
燃えにくいケーブルを使っていない原発の審査は初めてで、規制委が火災防護対策をどう評価するかも焦点となります。
安全審査の申請は11原発18基目。

東海第2原発の半径30キロ圏

東海第2原発の半径30キロ圏


原電は施設内の電気ケーブルの防火対策として、全長約1万8500メートルのケーブルの束に、防火塗料を塗る計画を申請書に盛り込みました。
原電の増田博副社長は、燃えにくいケーブルへの交換は必要ないとしています。
想定する地震の揺れ(基準地震動)は、従来の最大600ガルから最大901ガルに引き上げました。
想定する津波の規模(基準津波)は高さ17.2メートルに設定し、高さ18メートル以上の防潮堤を建設します。
重大事故の際に放射性物質を減らした上で、格納容器内の圧力を外に逃がす「フィルター付きベント」のほか、事故時の対応拠点となる緊急時対策所を新設します。
原電は新たな対策の費用として430億円を見込み、対策の完了は2016年6月以降の見通し。
東海第2原発は、東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型。
東日本大震災では津波の影響で非常用発電機1機が使えなくなり、残る2機の非常用発電機で原子炉を冷却するなど「あわや大惨事」という事態でした。
また、半径30キロ圏内の昼間人口は約98万人で、商用原発で最も多く、茨城県や周辺市町村は審査の申請を容認しましたが、避難計画の策定は進んでいません。
再稼働でなく廃炉を
中村敏夫・茨城県原発を考える会会長の話

東海第2原発は、東日本大震災で地震と津波による大きな被害を受けた原発です。
しかも、運転開始から35年もたっている老朽原発です。
茨城県沖では、今後も大きな地震や津波が発生する可能性があると指摘されており、再稼働などとんでもない話です。
日本原電は、これ以上住民を原発事故の危険にさらすようなことをやめ、ただちに廃炉にするべきです。
(「しんぶん赤旗」 2014年5月21日付より転載)

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