動燃差別「本社が関与」 東京高裁も賠償命令 元職員らへの圧力 具体的に認定

高速増殖炉「もんじゅ」などを運営する、日本原子力研究開発機構(原子力機構)の元職員6人が、「敵性判定」と呼ばれるレッテル貼りで賃金・昇級昇格差別を受けた「動燃差別是正訴訟」の控訴審の判決が3月25日、東京高裁でありました。

永谷典雄裁判長は、「旧動燃が差別を行う方針をとっていたことは明らか」として一審判決に続き、元職員への差別的取り扱いがあったと認め、原子力機構に対し約4,700万円(請求額1億6200万円余)の賠償を命じました。

控訴審判決は、元職員らがされた事実を一審より具体的に認定。「(茨城県東海村内の)事業所の労務課内でのみ対処可能な事項ではなく、動燃の本社の人事部が関与しなければなしえない」と本社ぐるみでの差別としました。

時効のため請求権が消滅したとして控訴審でも棄却された今井忠光さんについても、差別された内容に判決は言及しています。課長が今井さんに組合活動を辞めるよう迫った具体的やりとりを認定しました。

川上秋雄さんについても結婚式の際、「複数の上司から結婚を機会におとなしくした方がいい」などと圧力をかけられたことを具体的に認めました。

控訴審で争点となっていた元職員たちが、「損害及び加害者を認識した」時期について、控訴審判決は一審を踏襲し、「05年6月ころ」と判断しました。そのため元職員らの損害の多くが時効で認められませんでした。

判決後の会見で、原告の椎名定さんは、「私たち原告だけでなく、多くの先輩、同僚も声を上げ差別されたことが断罪されたと思う」と語りました。

弁護団の加藤健次弁護士は、「地裁、高裁と差別をしたという事実は認めた。動かしがたい事実として、機構には原告らに対して謝罪し解決してほしい」と訴えました。

茨城県などから傍聴に駆けつけた支援者らとの報告集会で、今井さんは「一審では門前払いだったが、今回も賠償が認められなかったことはともかくとして、差別されたことが認定されたことを喜びたい」と語りました。

(「しんぶん赤旗」2025年3月26日付より転載)

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