東海第2差し止め訴訟 原電は防災の基本逸脱 原告側が東京高裁で弁論
日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)について、茨城県などの住民が原電に運転差し止めを求めている訴訟の控訴審第4回口頭弁論が9月9日、東京高裁(谷口豊裁判長)で開かれました。原告代理人の弁護士3人が意見陳述し、東海第2発電所の危険性などを強調しました。
一審で水戸地裁は2021年3月、避難計画の不備を理由に運転を認めない判決を言い渡しました。原電と住民側の双方が控訴しています。
この日の法廷で吉村和貴弁護士は、電気設備の故障に起因した火災などが、深刻な機器損傷を引き起こすことを指摘。審査基準には、それに対する火災影響評価基準が欠落していると述べました。
尾池誠司弁護士は、茨城県が県民に「最大17万人避難」と広報したことの根拠となった、原電が示した放射性物質拡散のシミュレーションについて反論。原告側の研究者によるシミュレーションでは、はるかに多数の避難者が想定されるとして、原電の想定は過小で防災の基本から逸脱するものと批判しました。
只野靖弁護士は、「最新の科学的・技術的知見や調査を行っても基準地震動を上回る強さの地震動が発生することは否定できないもの」、「原子炉施設は人体に有害な多量の放射性物質を発生させる」と指摘。「過酷事故が発生した場合は広範囲の住民の生命・身体を侵害する重大かつ深刻な被害を生じさせる」とも述べました。
開廷前に原告団と支援者らが高裁前で集会を開きました。
(「しんぶん赤旗」2024年9月12日付より転載)