国の管理に瑕疵 鬼怒川水害控訴審始まる 茨城
鬼怒川大水害(茨城県常総市)をめぐり、住民らが国に対して損害賠償を求めた裁判の控訴審(中村也寸志裁判長)の第1回口頭弁論が9月9日、東京高等裁判所で行われました。
2015年9月の大水害から9年。河川管理の不備を認めた、22年7月の水戸地裁判決から2年余を経ての開始となりました。
原告側からは、片倉一美共同代表が「国民が理解できない非常識な国の政治に対して」と主張し、調査資料をパワーポイントで示しながら陳述しました。
大水害では、現状堤防の一番低い上三坂地区で越水して決壊した事実を振り返り、現実の堤防が低い場所、流下能力の低い場所から水害が発生していることを示しながら、「現実の世界で発生している」と強調。
国の河川行政が基準としているスライドダウン評価について、「架空の堤防高による治水安全度で、越水は起こらないという現実の世界からかけ離れたものだ」と批判しました。
さらに、被害が甚大な決壊を防ぎ、川の水があふれることを防ぐ工事を国の最優先対策とするよう求めました。
被告側の国は、河川管理の瑕疵について、「スライドダウン方式」が多くの堤防整備で用いられているとして否定。「原則的に下流から上流の工事を順次進めてきた」と陳述しました。
(「しんぶん赤旗」2024年9月10日付より転載)