追悼 布川事件・桜井昌司さん 個人の尊厳大切にする政治に

高橋誠一郎さん(衆院茨城1区予定候補)

「自慢のカレー、少し甘かったかな?次は、ペペロンチーノにするか?俺が飲めるようになったら、離れに泊まって帰ればいいし」─。
「布川事件」の桜井昌司さんとの今年3月のやり取り。近所ということでご自宅に伺い、“特製”だという野菜カレーをいただきました。

その桜井さんが先月亡くなりました。ご本人にお会いできたのもこの3月が最後。
がんの痛みをおして全国を駆け回り、亡くなる直前まで冤罪被害者を励ましました。

「しんぶん赤旗」にも登場し、再審法改正など司法改革を訴えて活動。県記者としてインタビューさせていただいた桜井さんとのお別れを経て、取材ノートをめくっています。

「あそこ(刑務所)でしか分からない、不自由でなければ得られないことがあった」─。無実の強盗殺人での無期懲役、約29年間の獄中生活をそう語りました。

「自分の人生で貴重な時間だった」と振り返る姿に、「“桜井さんにしかできない”生き方ですね」と言うと、目じりにしわを寄せて笑みを浮かべるいつもの表情で返しました。

「日本の法システムを変えたい」と訴え続けたたたかいは警察・検察の違法捜査を断罪し、2021年には裁判所が国と県に損害賠償を命じました。生前の桜井さんの悲願でもある再審法改正は、冤罪被害者の救済に向け、早急に求められます。

「社会が変わる日は必ず来る。1人ひとりの価値が大事にされる社会であってほしい」─。追悼・桜井昌司さん。遺志を受け継ぎ、個人の尊厳が大切にされる社会をつくるために政治の責任を果たす決意です。

(「しんぶん赤旗」2023年9月6日付より転載)

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