スマホ注意したら懲罰 茨城・古河市議提訴 自公の懲罰乱用歯止めを
議会中にスマートフォンをさわる自民党会派議員を注意したら、逆に議会出席停止3日の懲罰処分―。茨城県の古河市議会(定数24)で自民、公明会派などによる懲罰の乱用に歯止めをかけたいと4月7日、懲罰を受けた市議が古河市に110万円の損害賠償を求め、水戸地裁下妻支部に提訴しました。
古河市議会での懲罰が違法として、提訴している議員は今回で3人目。日本共産党の秋庭繁市議は、質問冒頭にロシアによるウクライナ侵略について市議会での非難決議を呼びかけたことで「懲罰」を受けました。その違法性を訴えた裁判が2月に始まっています。
7日に提訴したのは会派「市民ベースの会」の長浜音一市議です。
訴状によると、今年3月に代表質問が行われている最中、自民党系会派「真政会」の黒川輝男市議が議場に座ってスマホを操作していました。長浜氏は、黒川氏の肩をたたいて注意しました。
これに黒川氏は「強くたたかれ『両腕のしびれと吐き気』がすると騒ぎ」、長浜氏の懲罰動議を出しました。
懲罰は、「陳謝文」の朗読でしたが、長浜氏は拒否。すると、自民・公明系会派と幸福実現党の多数で、出席停止3日の「懲罰」を可決。事実確認も行われませんでした。市議会は、この件で午前11時ころに中断。「懲罰」のために7時間も費やしたといいます。
提訴後の会見で、代理人の丸山幸司弁護士は、「体に障害が起きるほど強くたたいたなら、大きな音がするとか周囲が気づくようなものだが、そうしたことがなく、黒川氏が誇張しているのではないか」と指摘しました。また、弁護団は秋庭市議らの裁判と併合して審理するよう上申するとしています。
長浜氏は、「私への懲罰の一方で、黒川氏のスマホは不問。懲罰連発で市民のための議会をやっておらず、市民への背信行為だ。今期で引退するが、来期は市民として市議会を監視する」と述べました。
同席した日本共産党の秋庭市議は、「物言う議員への脅迫だ。懲罰にめげず、市民の声を議会に届ける議員、共産党の値打ちを今度の市議選でも訴えぬきたい」と語りました。
(「しんぶん赤旗」2023年4月8日付より転載)