茨城県が2023年度予算案を発表 開発優先、生活支援は不十分

茨城県は2月21日、1兆2921億9400万円の2023年度一般会計当初予算案を発表しました。
過去2番目の規模となった予算案は企業誘致をはじめ、国直轄の公共事業とも相まって、開発優先の県の姿勢を色濃く反映する一方、新型コロナや物価高騰で冷え込む事業者・県民生活への支援は不十分です。

輸出大企業の大幅な増収で、法人2税の税収は過去最高。県税収入の増加で歳入は今年度を上回りました。
県の貯金である一般財源の基金残高は、来年度末で969億円となる見込みです。

大型事業は優遇

国直轄の霞ケ浦導水事業(総事業費2,395億円)は、水戸市と茨城町の立て坑を結ぶ石岡トンネル(第1工区)の掘削工事に59億円余り、常陸那珂港開発は大型船舶のための岸壁工事などに4億2700万円を計上しました。

県央地区の開発土地が売れ残るもとで、ひたちなか市で工業団地を新たに造成するほか、圏央道周辺でさらなる土地開発をめざします。

つくばエクスプレス(TX)県内延伸の調査・検討に2,600万円、地元住民が反対し、係争中の県産廃処分場計画(日立市)をめぐっては、周辺道路の整備費を含め、19億8000万円を盛り込みました。

新型コロナ対策費は、前年度比で大幅に縮減し4割減の1,268億円。
介護施設での感染防止対策のかかり増し経費や施設内療養の支援、検査体制の公費負担などを含みます。

県内産業への支援は直接融資が中心です。

保健所の体制強化

一方、障害者入所施設「県立あすなろの郷」の老朽化にともなう再編整備に44億2000万円余を計上。日本共産党県議団は施設の充実とともに、抜本的な定員増、障害福祉圏ごとの入所施設の設置を強く求めています。

児童福祉司を9人、児童心理司を4人それぞれ増員し、昨年度県内で過去最多を更新した児童虐待の対策強化にあたります。

新型コロナで体制がひっ迫している保健所で6人、県衛生研究所で1人をそれぞれ増員。県議団と市民の要求が県政を前進させました。

予算案は2月28日開会の定例県議会に提案され、日本共産党の江尻加那議員が3月9日の一般質問に立ちます

(「しんぶん赤旗」2023年3月1日付より転載)

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