原告「氾濫は国の責任」 常総水害訴訟が結審 水戸地裁
2015年9月の関東・東北豪雨で、鬼怒川が氾濫したのは国の河川管理に不備があったためだとして、被災した茨城県常総市の住民31人と1法人が国に約3億5900万円の損害賠償を求めている裁判が2月25日、水戸地裁(阿部雅彦裁判長)で結審しました。
原告団共同代表の片倉一美さん(68)が最終弁論に立ち、「国は責任を認め謝罪し、国民のための河川行政を」と訴えました。
2018年8月の提訴から約3年半。原告側は、若宮戸地区で鬼怒川が氾濫したのは、自然堤防の役割を果たしていた砂丘林が事業者に掘削され、無堤防状態のまま放置していたためだと主張。
河川管理区域に指定しなかった国の不備や、以前から氾濫の危険があった上三坂地区の堤防整備を後回しにしていた責任を追及しています。
最終弁論で片倉共同代表は、「河川区域に指定していれば掘削されず、被害も最小限度で済んだ。甚大な被害になったのは国の責任で、誰もが納得できる公正な判決をお願いしたい」と訴えました。
国側は、未整備となっているのは「河川改修の遅れによるもの」と主張。「それをもって、ただちに河川管理に瑕疵があるとは言えない」と反論しました。
報告集会で、原告代理人の只野靖弁護士は、「裁判で人災という確信が深まった」と力説。
「今の河川行政では国民の生命や財産は守れず、国は河川管理者として失格だ」と批判し、片倉共同代表は、「裁判で国の理不尽さは高まった。たたかってきて良かった」と支援を呼びかけました。
判決は7月22日(金)に言い渡されます。
2015年9月関東・東北豪雨水害
2015年9月に発生した台風18号や前線の影響で、関東・東北地方で記録的な大雨が降ったことによる大規模豪雨災害。
茨城県常総市では、鬼怒川の堤防決壊にともなう氾濫で、市全域の約3分の1(約40平方キロメートル)が浸水し、市役所も孤立しました。
県によると、市内では住宅5,163棟が全半壊し、46人が重軽傷。13人が災害関連死に認定されました。
(「しんぶん赤旗」2022年2月26日付より転載)