茨城県が当初予算案公表 住民要望差し置き大型開発・大企業偏重
茨城県は2月17日、新年度の当初予算案を公表しました。予算規模は、前年度比で1.0%減の約1兆2816億7900万円です。
新型コロナ対策として、ワクチン接種会場の運営やPCR検査の自己負担分補助などに約818億円を盛り込みましたが、前年度分の事業継続がほとんどで、事業者や医療機関への損失・減収補てんは盛り込まれていません。
大型開発・大企業優先の予算編成になっています。
県単独の公共事業費は3年ぶりの増額になりました。地元住民が反対する、日立市に予定する「新産廃最終処分場」の建設関連で、新設道路の用地買収・基本設計、住民広報などに計10億3500万円を計上。
工業団地の売れ残りに約78億円を投入しながら、坂東市に新たな工業団地(53億9800万円)を造成します。
茨城港や鹿島港を水素・燃料アンモニアの供給拠点とする「ターミナル化」の検討など、カーボンニュートラルの推進事業に19億800万円。TX(つくばエクスプレス)の高すぎる定期代の値下げを求める切実な住民要望を差し置いて、県内延伸への調査・検討費に1,800万円を計上。
霞ヶ浦と那珂川、利根川を地下トンネルで結ぶ「霞ヶ浦導水事業」と常陸那珂港区開発など、国直轄の不要な港湾・河川開発の県負担にも国言いなりで多額の予算が盛り込まれています。
一方で、土浦保健所の建て替えに向け、基本設計の実施に2,600万円、ケアラー・ヤングケアラーの実態調査に900万円、児童相談所と保健所の体制強化で職員をそれぞれ15人増員。
私学の授業料補助を、小学校(10万円)と中学校(18万円)をともに約33万円に増額するなど、県民運動と県議団の要求が実った前進もありました。
予算案は25日開会の定例県議会で審議が始まります。
(「しんぶん赤旗」2022年2月23日付より転載)