茨城県予算案 医療機関へ減収補てん無し 困窮者の支援必要

茨城県の2021年度一般会計当初予算案(1兆2951億7800万円)の審議が、2月26日開会の県議会で始まります。予算案の中身を見ました。

(茨城県・高橋誠一郎)

5,000病床の削減計画

予算規模は、前年度当初比11.4%増で過去最大です。
コロナ対策では、PCR検査の自己負担や入院受け入れ機関の病床確保への補助が、昨年に続き計上されました。

党県議団が要望してきた医療・福祉従事者に対する定期的検査は示されていません。
コロナで厳しい経営を強いられる医療機関への減収補てんも盛り込まれませんでした。

国が25年度に向けて進める公立・公的病院の病床削減をめぐり、削減に応じて資金を提供する「病床機能再編支援事業」に6,200万円を計上。
県は回復期病床を増やすとするものの、全体で約5千床を減らす計画です。

産廃処分場に巨費

県が日立市を候補地とする「新産業廃棄物最終処分場」の整備。
市民が1万人分を超える反対署名を集める中、搬入ルートの整備に向けた調査・設計委託等に6億9000万円を計上しました。

つくばみらい市には、約200億円(新年度は約123億円)をかけて22年ぶりに新たな工業団地(70ヘクタール)を造成します。

このほか、県立医療大学の法人化(23年4月めど)の準備・検討に3億6000万円、東京五輪・パラリンピックのホストタウンとして感染対策に約5億円を計上しました。

不妊治療費助成も

これまで年収730万円未満としていた不妊治療費の助成について、所得制限を撤廃。
助成額も1回20万円から30万円に拡充されました。
保険対象外の不育症検査も、1回5万円を上限に費用助成が盛り込まれるなど、前進面もありました。

コロナの感染拡大で、独自の緊急事態宣言を出した茨城県。
事業者の営業や学生・生活困窮者への支援など、自粛要請に見合う十分な補償が必要です。

(「しんぶん赤旗」2021年2月23日付より転載)

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