東海第2原発差し止め訴訟 7月2日結審 水戸地裁 住民に応える判決を

日本原子力発電(原電)が再稼働をめざす東海第2原発(茨城県東海村)。
東京都や茨城県などの住民が原電を相手取り、運転差し止めを求めている裁判が7月2日、水戸地裁(前田英子裁判長)で結審します。

運転開始から40年以上が経過し、周辺30キロ圏内には全国最多の94万人を抱える首都圏唯一の原発。
再稼働の是非をめぐる司法判断に注目が集まっています。

(茨城県・高橋誠一郎)

住宅密集地に立地する日本原子力発電東海第2原発(左)と廃炉作業中の東海原発

住宅密集地に立地する日本原子力発電東海第2原発(左)と廃炉作業中の東海原発

東京電力福島第1原発事故を受け、原発の運転にともなう重大事故が、住民らの「人格権」を侵害するとして2012年7月に裁判が始まりました。

提訴から約8年。
原告側は、原発の運転が憲法違反であることに加え、東海第2原発に使われている6割強のケーブルが燃えやすい「非難燃ケーブル」のままで安全上の問題があることや、原電側の地震・津波評価が不十分であることなどを指摘。
「安全対策」の工事費用を自前で調達できない原電が、東京電力などから資金援助を受けることに対して、「経理的基礎(経営基盤)が欠けている」などと主張しています。

地震評価不十分

裁判で原告側は、地震工学者の野津厚氏や、原子炉格納容器の設計などに関わった後藤政志氏が証人陳述。

野津氏は、地震学が「原発の安全性を保証できるほどの成熟度には達していない」とした上で、原電の想定をはるかに超える地震動が東海第2原発の付近で発生する可能性を指摘。

後藤氏は、原電側の格納容器の耐震性評価が不十分などと主張しました。
一方で原電側は、原発施設の耐震性について「保守性は考慮されている」などと反論しています。

原告側の本人尋問では、福島原発事故を体験した母親や農業従事者などが自ら法廷に立ち、目に見えない放射能の恐怖を思い思いに陳述。「より良い未来のための判決を」と運転差し止めを求めました。

「原電は他人事」

「私たちは危険の大きい原発の電気は必要としていない。住民が安心して暮らせることの方がはるかに意味がある」。
原告団共同代表の大石光伸さんは結審を前に思いを語ります。

東海第2原発差し止め訴訟の大石光伸原告団共同代表(右端)と弁護団ら

東海第2原発差し止め訴訟の大石光伸原告団共同代表(右端)と弁護団ら=2019年7月、水戸市

「福島の10倍近い人口密集地で事故になった時、住民がどれほどの被害、多重な苦しみをもたらすか、原電は被害のシミュレーションをしていない。はじめから『およそ考えられない』として住民が避難することなど他人事のように語っている」と断じ、「福島の人々をはじめ、周辺で暮らす住民、首都圏で生活する住民に応える判決にしてほしい」と訴えています。

一方で原電側は、原告側の主張について、「しんぶん赤旗」に「口頭弁論期日の前で具体的な回答は差し控える」と結審を前に明言を避けました。

事故が起きれば茨城県のみならず、首都圏にも大きな影響を及ぼす東海第2原発の再稼働問題。判決は今年度中に言い渡される見通しです。

(「しんぶん赤旗」2020年7月1日付より転載)