当初の事業費から5倍 新・水戸市民会館に353億円 住民、支出差し止め提訴

水戸市が東日本大震災で被災した市民会館を、353億円の巨額費用をかけて市内中心部の民有地に移転、新設しようとしていることに批判が高まっています。

住民ら16人は12月16日、「新・水戸市民会館」(3,700人収容)建設について、約235億円の支出差し止めと、支出された約28億円の返還を求めて水戸地裁に提訴しました。
「当初の5倍以上の事業費となり、非効率で不正な支出。地方都市ではありえない額で、事業の強行は許されない」(田中重博原告団長)と訴えています。

記者会見を行う田中氏、谷萩氏ら(中央左から)=12月16日、水戸市内

高橋靖市長が市民会館の移転を表明したのは2013年3月。
市長は当初、5カ所の市街地を候補にあげていましたが、選定されたのは、このうち多くの店舗が密集する泉町1丁目北地区。JR水戸駅から約1.5キロの市内中心部です。

特定業者を優遇

また、予定地にある株式会社伊勢甚が所有する元商業施設(旧京成百貨店)の解体と補償、新市民会館の商業床の提供に約36億円が投入されることから、田中原告団長は、「特定業者を優遇する、水戸市長による伊勢甚のための計画だ」と批判します。

当初68億円だった事業費は4回増額。市は完成後の維持管理費も示していません。

原告は、泉町1丁目北地区での建設が「最小の経費で最大の効果を挙げなければならない」とする地方自治法の規定に「違反する」と主張。
市長の権限を「逸脱乱用している」とし▽多額すぎる事業費▽大きすぎて使いづらいホール▽周辺の交通渋滞を招く─などの問題点を指摘しています。

市は、地権者の土地所有権を新しい市民会館の床に移す「権利変換」の仕組みを採用。
反対する地権者がいても、土地所有権の効力を一瞬で喪失できることから、原告は「都市再開発法の悪用だ」と指摘しています。

建設予定地には、明治・大正期から続く老舗の商店が立ち並び、これらの店舗が移転や廃業に追い込まれるなど、居住や営業の権利を侵害する事業となっています。

計画白紙に戻せ

谷萩陽一弁護団長は、自身が新市民会館の見直しを求めて、今年4月の水戸市長選に出馬した経過に触れ、「地元では反対の声が強い。住民を泣かせてつくる市民会館はおかしい。公金支出の差し止めに追い込みたい」と話します。

日本共産党水戸市議団は、多額の税金支出をともなう建設計画を白紙に戻し、住民の声を反映した市民会館の実現を繰り返し求めてきました。
田中真己市議団長は、「事業費増額の事後報告など、議会軽視がはなはだしい。住民訴訟を支援し、共にたたかっていきたい」と話しています。

(茨城県・高橋誠一郎)

(「しんぶん赤旗」2019年12月28日付より転載)