平和の根っこ 「自衛隊は憲法違反」看板新調 66年のたたかい継ぐ 茨城・百里基地

航空自衛隊百里基地は、東に太平洋、西に筑波山を望む茨城県小美玉市にあります。
2010年に茨城空港が併設されました。以来、民間旅客機と戦闘機が同じ滑走路を使っています。
百里基地を見下ろす「九条の丘」に「自衛隊は憲法違反」の大看板があり、いま、この看板の新調作業が進められています。

(武田祐一)

作業場所は、広々とした基地の一角にある「百里平和公園」です。フェンスに囲まれた園内には「百里平和稲荷」や展望台などがあります。看板は鉄枠とトタン製で、1枚の大きさは180センチ×180センチです。6枚分のトタンを張り終えており、この日は文字の下書きに入りました。

「そこに上がってみてください。飛行機の誘導路が『く』の字形に曲がっているのが分かるはずです」と説明するのは、一般社団法人「百里の会」会長の伊達郷右衛門さん(80)。

「戦闘機が日常的に行きかう。昨年末には日米共同演習にも使われた。いつ事故が起きてもおかしくない」と指摘します。

もともとは農地

百里は、国が戦中に農地を接収し、日本軍の「百里原飛行場」をつくった土地です。戦後、農地として解放し、農民が荒れた土地を開拓しました。
「ところが朝鮮戦争(1950~53年・休戦)の後、国はまたもや航空自衛隊の基地にすると言い出した。農民は『悲惨な戦争はごめんだ、戦争のために土地は売らない』と56年から66年間、頑張ってきた」と語ります。

地元で生まれ育った梅沢優さん(71)は、基地反対農民だった父の遺志を継いでたたかってきました。
「大看板は、基地反対運動の象徴の一つです。76年2月に設置されたもので、だいぶ老朽化しています。平和憲法を守るために、いま改めてこの看板が大事だと思いました」。

安倍晋三元首相が2020年1月の衆院予算委員会で、この看板を敵視し、「このような状況に終止符を打つ」、「そのためにも憲法に自衛隊をしっかり明記する」と述べました。

梅沢さんは「自衛隊は災害支援などをしている。他方、憲法9条は『陸海空軍その他戦力は』保持しないと明記している。戦力を持つ自衛隊が憲法に反するのは明らかだ」と話します。

悪法とたたかう

菅義偉前首相のもとで土地利用規制法がつくられました。「これは大変なことだと思った」と梅沢さん。百里基地の中には基地反対農民や支援者が一坪地主運動などで守ってきた土地があるからです。「この土地に規制をかけさせないために運動を強めねばというのも看板建て替えの理由です」。

水戸市の神原要さん(66)は元高校の社会科教師。「定年後の再任用を終え、本格的に参加するようになりました。教職員組合では『教え子を再び戦場に送るな』と訴えてきました。安保法制が強行されたもとで憲法を変えられたら戦争につながる」と危惧します。

平和公園では毎年2月11日、「平和初午まつり」を行います。

梅沢さんは、「看板を公園内に並べて、お披露目できるようにしたい。将来はこのたたかいを若い人たちにも知ってもらえるように、公園内に平和資料館をつくりたい」と展望を語っています。

(「しんぶん赤旗」2022年1月7日付より転載)

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