堤防整備 後回しは不合理 常総水害訴訟で住民 水戸地裁

2015年9月に発生した関東・東北豪雨で、鬼怒川の堤防が決壊したのは国の河川管理に不備があったためだとして、被災した茨城県常総市の住民らが国に損害賠償を求めている裁判の口頭弁論が9月27日、水戸地裁(阿部雅彦裁判長)で開かれました。

原告側は、国が堤防幅を確保するために堤防高を下げる「スライドダウン」評価を採用したことで、従来から氾濫の危険があった上三坂地区ではなく、他の区間の堤防整備を優先させることになったと主張。
上三坂地区での鬼怒川の決壊につながり、整備を後回しにしたのは「不合理だ」と述べました。

また若宮戸地区では、国が河川管理区域の指定を怠ったために、自然堤防の役割を果たしていた砂丘林が掘削されたと主張。
一方、国側か砂丘林を堤防と認めていない点について、「国は水害前には(堤防の一種の)山付堤として扱っていた。堤防と認めないのであれば、無堤防状態を放置したことになる」と反論しました。

次回の口頭弁論は10月8日午前10時から。原告側の証人尋問が始まります。

(「しんぶん赤旗」2021年9月28日付より転載)

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