話題よぶ自閉症青年の作品 「ノン・ブラック展」 7月20日まで 水戸

水戸市のザ・ヒロサワ・シティ会館(茨城県立県民文化センター)で、美術集団「ノン・ブラック」(大石展子代表)による「第61回ノン・ブラック展」が開催され、自閉症の青年が描いた作品が話題をよんでいます。

(茨城県・高橋誠一郎)

新型コロナウイルスの影響で2年ぶりの開催になります。絵画・写真・工芸の3部門に分かれる展示は、油絵やアクリル画のほか、陶芸作品など計168点を連ね、今回初めて小学生の作品も展示されました。

会場では、自閉症の川崎翔平さん(27)の作品、「いきていくちから」が会場入り口で来場者を迎えます。
2体の仏像を描いたこの作品は、油性ペンとアクリル絵の具を駆使した2点連作。
躍動する筆致で観る人を圧倒し、前回の「ノン・ブラック展」では「新人賞」を受賞しました。

今年はガラスや金属に描き込める鉛筆「グリースペンシル」を使い、マリア像や天使像を描いた作品も出展。川崎さんの作品は、いずれも白黒の濃淡で表現されています。

大石代表は、「初めて作品を観たときはドキッとした。モノトーンで描かれ、潔く新鮮です」と話します。

1969年に日立市で誕生した美術集団「ノン・ブラック」。
在野で活動するアーティストが発信する場をつくろうと、約50年にわたり制作活動や展覧会の開催に取り組んできました。

「ノン・ブラックは“人間”を象徴する作品がテーマ。社会批判も貫きたい」と語る大石代表。
自身は、地球温暖化によるオーストラリアでの森林火災をテーマにしたアクリル画などを出展。地球規模で起きる環境問題を観る人に問いかけます。

大石代表は、「今年の展示では様々なテーマの作品が集まりました。海外からの出品もあり、国際色豊かな展覧会になっています。コロナ禍で気持ちもダウンしていますが、豊かな色彩を楽しんでほしいです」と話しています。
展示は7月20日(火)まで。

(「しんぶん赤旗」2021年7月16日付より転載)

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