窮地の飲食店が悲鳴 「自粛と一体の十分な補償して」 居酒屋店主語る つくば

「40年やっていて、こんなひどい年はなかったな。もうやめたくなったよ」―。
4都県に緊急事態宣言が出された前日の1月6日、茨城県つくば市で「居酒屋くぼや」を営む店主の久保谷勘四郎さん(80)は、コロナ禍にともなう売り上げの激減に肩を落としました。

(茨城県・高橋誠一郎)

筑波大学の近隣にある「くぼや」はこれまで、年間を通して学生の団体客でにぎわってきました。
「昨年から予約とキャンセルの繰り返し。このままじゃとんでもないことになる」。

昨年10か月間の売り上げはゼロに近く、月26万円の家賃や電気・水道代、学生アルバイトの給与は店主の持ち出し。
「1月8日から店を開けることになっているが、客が来ないのは分かっている。本当は開けたくないが、バイト生も給料をくださいって言ってくるんだよ」。
久保谷さんの頭に、コロナ禍に苦しむ学生の顔がよぎります。

地元の土浦民主商工会を通じ、「持続化給付金」を申請しました。相次ぐキャンセルで、仕入れた食材は在庫であふれています。

「給付金は、食材を保管する冷凍庫を買い足して終わり。入らないものは捨てるほかない。100万円は手元に2日しかなかったよ」。

つくば市では、2020年11月から12月にかけて2週間、県が1日2万円の協力金(最大28万円)と営業時間短縮を要請し、「くぼや」も応じました。
「協力金といっても1回こっきり。28万円といっても家賃だよって」。

久保谷さんは、自粛と一体の十分な補償を求め、語気を強めます。
「居酒屋に営業短縮を求めるのは、辞めろと言っているのと同じだから。コロナ禍で上の2店舗はつぶれてしまった」。

茨城県は緊急事態宣言の対象外ですが、県内への影響を懸念します。
県は1月6日時点で、結城市やひたちなか市など、県内7市町に不要不急の外出自粛のほか、水戸市と土浦市の歓楽街に当たる一部地域で、酒類を提供する店舗への営業時短を要請しています。

「高い家賃払ってさ、同じ場所でよくやってきたよ」。
「くぼや」は毎年春に学生の卒業シーズンで繁忙期を迎えます。
「2月が勝負だな。ほとんど休みなしでやる」。

瀬戸際に置かれている飲食業界。営業を守る十分な補償へ、国や自治体の役割が一層問われています。

(「しんぶん赤旗」2021年1月8日付より転載)

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