作業員被ばく 容器異常21年前にも 原子力機構「袋が膨張」点検記録
日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター(茨城県大洗町)で放射性物質が入った容器が破裂し作業員5人が被ばくした事故で、原子力機構は7月18日、破裂した容器で21年前、今回の事故と同様に内側のビニール袋が膨張する異常があったことを明らかしました。
機構はこれまで、1991年の保管開始から容器を点検していなかったと説明していました。膨張が確認された96年時点で適切な対策が取られていれば事故を防げた可能性があります。機構は異常の情報が内部でどう扱われたかなどを調べます。
機構によると、点検記録は事故が起きた同センター燃料研究棟のハードディスクで見つかりました。研究棟で保管されていた放射性物質入りの金属製容器64個を、96年5~7月と97年2月に点検し、このうち事故が起きた容器を含む23個で異常がありました。
金属製容器の内部は、放射性物質を直接収めたポリ容器を2重の袋が包む構造になっています。点検記録によると、ポリ容器の底部が破損し、外側の今回破裂したのと同型の袋が膨張していました。他にも袋が膨張した容器が一つあったほか、ポリ容器や袋が変色したものも見つかり、いずれも交換したといいます。
これまでの機構の調査では、放射性物質を固めたエポキシ樹脂が放射線で分解されてガスが発生し、袋にたまって破裂した可能性が高まっています。
(「しんぶん赤旗」2017年7月20日付より転載)