JCO 放射性廃棄物焼却施設計画 共産党茨城県委員会と「原発を考える会」が調査

1999年に茨城県東海村で臨界事故を起こした核燃料加工会社JCOが、事故後も保管している低レベル放射性廃棄物の焼却施設の設置計画をしている問題で、日本共産党茨城県委員会と「茨城県原発を考える会」は9月6日、JCO東海事業所を訪れ、桐嶋健二社長、東海林敦東海事業所長などから説明を求め、計画中止を申し入れました。
桐嶋社長は、「1999年の臨界事故後より、施設・廃棄物の維持管理を行ってきた。そうした対応がひと段落ついてきたこと、廃棄物処分に関する法的整備が進んできたことから、保有する施設及び廃棄物の『後始末』を、可能な限り早期に実施できるよう準備をすすめたいと考え、今回の計画を策定した」「焼却対象物量は、液体(油類)約100m3(ドラム缶約500本)、固体(布、紙、木類)ドラム缶約200本」「施設設置費は約1億円、親会社の住友金属鉱山から融資をうける」と概要を説明しました。
安全協定の申請について
焼却施設の設置について、JCOと県・村が結んでいる安全協定5条(新増設等に対する事前了解)の申請をしていないことに関して、桐嶋社長は、「当該焼却設備は設備の更新であり、『施設の新設』には該当しない」と述べました。
これに対し日本共産党は、「既存施設とは焼却機能が違うことから更新ではなく新設であり、安全協定に該当する」と述べました。
安全協定5条「丁(事業所)は、原子力施設及びこれと密接に関連を有する施設を新設し、増設し、変更し、又はこれに係る用地の取得をしようとするときは、事前に甲(茨城県)及び乙(東海村)の了解を得るものとする。ただし、軽微なものについてはこの限りではない」
焼却の安全性について
日本共産党は、「液体や可燃性固体を焼却した時の環境への影響」について質問。
桐嶋社長は、液体の焼却での排気は『高性能フィルター』で3.7×10-10Bq/cc以下になる」「フィルターには、濃度の高い放射性物質が残り、またドラム缶で管理する。固形物の焼却灰は、ドラム缶の表面空間線量が1マイクロシーベルト/時になり、ドラム缶で再び管理する」と答えました。
誰でも参加できる説明会の実施を
日本共産党は、「JCOから350メートル以内などの限定をやめ、だれでも参加できる説明会の実施」を要望しました。
桐嶋社長は、「みなさんのご意見を踏まえて、どのように説明会を行うか検討している」「8月28日付けで文部科学省の施設設置許可書を受領した。工期は8か月ですが、説明会との関係で開始時期は未定です」と答えました。
人口密集地での焼却計画の中止を
日本共産党は、「JCO周辺は民家やお店があり、国道・県道も近く、住宅付近での焼却に不安が広がっています。JCO敷地での焼却計画は中止して欲しい」と要望しました。
桐嶋社長は、「早く処理した方が住民のみなさんが安心してもらえると思う」「固形物については、他のところで処理してもらうことも検討している。液体は、現状では、自社でやらなくてはならない」と述べました。
日本共産党は、「廃棄物の処理についても国民合意の処理基準は未確立であり、安全性に対する厳しい基準が必要です」とのべ、「住民合意のない工事着工は中止してほしい」と求めました。
JCOの調査と要請には、日本共産党の稲葉修敏県書記長、うの周治衆院茨城4区予定候補、大名美恵子東海村議、川崎篤子東海村議、「県原発を考える会」の中村敏夫会長が参加しました。

JCO(左側)から聞き取り調査する各氏

JCO(左側)から聞き取り調査する(右から)中村、大名、川崎、うの、稲葉の各氏=6日、東海村


(「茨城民報2012年9月号外(PDF)」はこちらからご覧下さい。
質問全文と回答についてはこちらから。)

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