霞ケ浦導水事業差し止め訴訟 来年7月判決へ

茨城県、栃木県の那珂川関係漁協が「漁業権を侵害し、生態系も破壊する」として国を相手取り、霞ケ浦導水事業の那珂川取水口(水戸市)の建設差し止めを求めている裁判が12月19日、水戸地裁(日下部克通裁判長)で結審しました。
判決は2015年7月17日に言い渡される見込み。
この日の最終口頭弁論で、原告漁協側は▽那珂川と利根川から霞ケ浦に導水しても湖水を浄化することは不可能▽利根川流域の給水量、給水人口とも減少傾向にあり、新規水源開発という事業目的を喪失している▽取水による河川流量の減少でアユ資源に影響を与える▽涸沼のシジミの生息環境を悪化させる▽国は公共性、「受忍限度」をいうが、原告側が得られる利益は何もなく、漁業権が侵害される─などと主張し、あらためて取水口建設の差し止めを求めました。
口頭弁論終了後、会見した原告代理人の谷萩陽一弁護士は、「この事業を正当化する公共性は何もないと立証できたと思っている」と裁判を振り返り、「判決までは時間がある。世論を集めて勝訴判決を勝ち取りたい」と語りました。

霞ケ浦導水事業

那珂川~霞ケ浦~利根川の間を地下トンネル(導水路)で結んでそれぞれの水を往来させ、▽水質浄化▽新規都市用水の確保─などをはかるとして、1984年に着工された総事業費1,900億円の大規模公共事業。事業主体は国交省です。
学者・専門家や市民団体なども「過大な水を供給する無駄な公共事業」ときびしく指摘しています。
(「しんぶん赤旗」首都圏版 2014年12月20日付より転載)

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