東海第2原発訴訟 行き詰まる避難計画 原告側が主張 東京高裁
日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)について、茨城県などの住民が運転差し止めを求めている裁判の口頭弁論が6月21日、東京高裁(谷口豊裁判長)で開かれました。運転差し止め訴訟は、水戸地裁が避難計画の不備を理由に運転を認めない判決を言い渡した裁判の控訴審です。
原告代理人の尾池誠司弁護士は、原電の拡散シミュレーションは過小想定で、東海第二地域科学者・技術者の会が県の「最大17万人避難」には根拠がないとしているとし、「県による避難計画の実効性検証は法の趣旨に反するもの」としました。
丸山幸司弁護士は、防潮堤基礎工事の瑕疵について、原電には技術能力や品質管理能力が欠如し、設工認違反で基準不適合と指摘。原電の内部告発への対応や原子力規制委員会の初期判断など、規制委の検査の不十分さから司法審査の必要性を主張しました。
青木秀樹弁護士は、裁判長交代に伴い、安全神話からの脱却や福島の教訓が生かされた司法判断を求めました。
報告集会で原告団共同代表の大石光伸氏は、規制委の検査の不十分さについて、「18日の規制委員会の会合での原電に対する厳しい態度については、全面的に評価しないでほしい。表面的な言動という一面は拭えない」と指摘。日本共産党の江尻加那県議は、内部告発など「原電の隠ぺい体質は許されない。避難計画も防潮堤工事も行き詰まっている。廃炉へみなさんと世論を広げていきたい」と発言しました。
(「しんぶん赤旗」2024年6月24日付より転載)