茨城県議選告示 12月11日投票 対決構図は鮮明 日本共産党VS「オール与党」勢力
統一地方選の前哨戦として、各党が総力をあげる茨城県議選(12月11日投票、総定数62、立候補者数96人)が12月2日、告示されました。
日本共産党から、江尻かな候補(水戸市・城里町区、定数6)、山中たい子候補(つくば市区、定数5)、佐野太一候補(取手市区、定数2)、川崎あつ子候補(東海村区、定数1)が立候補しました。知事提案に何でも賛成の「オール与党」勢力と、唯一、議会としてのチェック機能を果たす日本共産党の対決です。初日の論戦から見えたものは…。
子育て・医療・教育 充実
暮らしや医療・教育の問題では、コロナ禍や物価高騰で県民生活が追い詰められる下で、「子育ての安心を広げたい」と共産党の4候補が力説。
江尻候補は、県内で広がる学校給食の無償化を、県の制度として位置づけて全県で実現させたいと訴え、子どもの国保税・医療費、2歳までの保育料無償化とあわせた「子育て3つのゼロ」をと訴えました。
山中候補は、県が一昨年に県内の保健所を3カ所減らしたことに反対したのは共産党だけだったと批判し、「全国8位の財政力を医療と福祉の充実のために使うべきだ」と強調。「県立高校の新設は“オールつくば”の願いだ」として、「中学生の6人に1人しか市内の県立高校に進学できないのは沿線開発を進めた県の責任。新しい県立高校を作れの願いを私に託してほしい」と呼びかけました。
他陣営の訴えはどうか―。
水戸市・城里町区の公明現職は、県の保健所削減を認めたのにもかかわらず、「県民の命を守ることに重点を置いてきた」と無反省の姿勢。公明参院議員(選挙対策次長)は、「世論調査では圏外となっている」として引き締めに躍起。つくば市区では、主要候補の中で県立高校の新設に触れたのは山中候補のみでした。
廃炉迫るぶれない姿勢
「いばらき自民党と県民フォーラム、公明党ときちっと制定に反対し、条例案は廃案となった」―。
一昨年、日本原子力発電東海第2原発(東海村)再稼働の賛否をめぐり、9万人超の署名とともに県議会に提出された「県民投票条例案」の直接請求。ある自民現職候補は、条例案の否決を“実績”として強調しました。「必要であれば原子力発電所をしっかり動かしていく。安全対策工事をしっかりやって避難計画もつくる。これができて初めて動かすことができる。それ以外の選択肢はない」。再稼働に向け、議論を主導してきた成果を強調しました。
現在停止中の東海第2原発。県議選の告示を受け、NHKは再稼働の是非が選挙戦の争点になると報道しました。今回改選される県議が、再稼働の是非をめぐる判断を求められる可能性があります。
東海第2原発から約960メートルの距離に住む川崎候補は、「知事が決断すれば再稼働は止められる。力を合わせてストップさせ、再生可能エネルギーへの転換へ力を尽くしたい」と力説。
江尻候補は、避難計画の不備を理由に運転差し止めを言い渡した昨年の水戸地裁判決に触れ、「再稼働反対の世論と地裁判決を反映させることが県議会の役割だ」と強調しました。自民党が再稼働への姿勢をむき出しにするもとで、ぶれずに廃炉を迫る共産党の役割が鮮明になっています。
国政を変えるうねりに
自民党に対する激しい逆風を肌で感じている―。取手市区で自民現職の第一声で参加者は危機感をあらわにしました。取手市選挙区は「死刑のはんこ」発言で辞任した葉梨康弘前法相の地元。自民現職2人に共産党の佐野候補が党議席奪還に挑む構図です。別の陣営関係者からは「共産党も出ている。3人のうち少しでも手を抜いた方が負ける」の声も。共産党への敵意をあらわにしています。第一声に葉梨前法相が駆け付けたものの、紹介のみで来賓の訴えは行いませんでした。
統一協会と政治の癒着、相次ぐ閣僚の辞任、物価高騰でまともな対策が打てない岸田自公政権に怒りの声が渦巻くもとで、県政・国政を変えるうねりが広がりつつあります。
佐野候補は、政府が決断しない消費税減税や最低賃金の大幅増を力説。「命と暮らしを守り、ジェンダー平等を実現する政治を」と呼びかけました。
立候補状況
日本共産党の立候補者は次の通り。【】内は選挙区と定数、立候補者数
- 【水戸市・城里町6、立候補10人】
江尻 かな(49)現 - 【つくば市5、立候補8人】
山中たい子(71)現 - 【取手市2、立候補3人】
佐野 太一(54)新 - 【東海村1、立候補2人】
川崎あつ子(69)新
(「しんぶん赤旗」2022年12月3日付より転載)
県民の声届ける議席を 茨城県議選 日本共産党4候補の第一声
12月2日告示された茨城県議選。日本共産党4候補の第一声を紹介します。
給食費無償化声広げる
水戸市・城里町区(定数6)江尻かな候補(現)
コロナや物価高が暮らしを襲っているいま、今回の選挙で、子育て安心3つのゼロ─▽学校給食無料▽2歳までの保育料無料▽18歳までの医療費・国保税無料─を実現したい。
私たちが給食無料の運動を始めた時、4自治体が実施していました。
活動を広げる中で7自治体に増え、来年から日立市が無償化します。
市町村のがんばりを支援するために県として無償化制度をつくれるよう選挙を通じて声を広げます。
東海第2原発の再稼働問題にものを言わない、自分の考えを示さない候補でいいのでしょうか。
再来年の9月に再稼働工事が完了してしまい、次の県議が動かすかを判断します。私は再稼働反対でぶれず、原発のない茨城をめざします。
高校新設へ願い託して
つくば市区(定数5)山中たい子候補(現)
国の悪政から県民の生活を守る。これこそが県の役割です。茨城県の全国8位の財政力を暮らし、医療、福祉の充実、子育て支援にこそ使わせましょう。
市内の県立高校に6人に1人しか進学できない困難な事態をつくったのはつくばエクスプレス沿線開発を進めた茨城県です。
つくば市議会も全会一致で県立高校新設を求めています。県立高校を一緒につくる願いを込めた1票をお寄せください。
特別養護老人ホームを増やし、介護保険料・利用料の県独自の軽減制度もつくらせましょう。介護改悪許さないの願いも託してください。
党をつくって百年、日本共産党は平和と民主主義、反戦・平和をぶれずに貫いてきました。9条守れの願いを託してください。
心の健康に行政の手を
取手市区(定数2)佐野太一候補(新)
産業カウンセラーとして、多くの悩みや生きづらさをお聞きしてきました。心の健康のためには行政の支援が必要です。県議会から変えていくために挑戦しました。まず相談しやすくするため窓口を一つにまとめます。
給食費ゼロ、18歳までの医療費ゼロ、子どもの国保料をゼロにします。これは県財政の0.8%で実現できます。県の財政力は全国8位、住みよい暮らしをつくれたはずです。でも福祉医療は全国最低レベル。議会を変えましょう。
自民党の統一協会との癒着、相次ぐ大臣の辞任、許せません。取手では自民党が2議席を独占しています。ここにメスをいれる。命、暮らしを守り、ジェンダー平等を実現しましょう。
原発再稼働止め廃炉へ
東海村区(定数1)川崎あつ子候補(新)
東海第2原発の敷地から960メートルに住んでいます。2期8年、村議として再稼働ストップと廃炉を求める住民の声を届けてきました。
東海第2では再稼働に向けて毎日1,500人の作業員を動員して工事を進めていますが、稼働から40年を超える古くて危ない原発です。
30キロ圏内には94万人が生活し、福島原発のような事故が起これば避難は不可能です。今年の参院選の出口調査でも県民の多数が再稼働に反対です。
ところが岸田文雄政権は東海第2を含めた老朽原発のすべてを動かすと言い出しました。福島の教訓を踏まえれば再稼働は許されません。私は県民と力を合わせ再稼働をストップさせ、再生可能エネルギーへの転換へ力を尽くします。
(「しんぶん赤旗」2022年12月3日付より転載)