茨城県議選へ 予定候補語る 貧困なくす政治の役割を 佐野太一氏
茨城県議選(12月2日告示、11日投票)の日本共産党予定候補者に思いを聞く3回目は、前回失った党議席の奪還をめざす新人の佐野太一氏=取手市区(定数2)=です。
(茨城県・高橋誠一郎)
2021年12月に入党しました。「県議予定候補に」と言われた時はとても驚いて、到底政治家向きではないと思いましたが、悩みぬいた末に決意しました。
私は2008年から、産業カウンセラーとして労働者のメンタルヘルスの啓発や、中小企業などに職場の環境改善をアドバイスする仕事をしてきました。
不景気でリストラが横行し、非正規雇用が増え始めた当時、私は人材派遣会社に勤めていました。
他社の正社員を非正規として企業に紹介する仕事でしたが、不安定雇用を増やしているのではと矛盾を感じることもあり、仕事を続けながらカウンセラーとして労働者の相談活動に取り組むようになったのです。
平日はサラリーマン、土日は相談活動という生活が10年ほど続きました。さまざまな悩みが寄せられ、当時は呼び名すらなかった「生理の貧困」や、日常的に家族の世話を担う子ども「ヤングケアラー」の課題にも向き合ってきて、これらは近年ようやく社会問題として注目されるようになりました。
「知られていない問題がこんなにあるのか」、「もっと自分にできることはないか」─。そう考え始めました。
多様な相談
仕事をしながら取り組んできた相談活動でしたが、なかなか良くならない世の中へのジレンマ、困難を抱える人がたくさんいる実態を目の当たりにし、仕事を辞め、一般社団法人を立ち上げました。産業カウンセラーの道に専念することにしたのです。
労働者のメンタルヘルスや生活保護の申請など、相談事はさまざま。行政の支援制度自体を知らない人と自治体をつなぎ、相談者の問題解決に取り組むことが仕事の中心でした。
「生理の貧困」問題でも、生理用品の寄付を募り、当事者に提供してきました。
北海道から沖縄まで全国各地から問い合わせが相次ぐ中、ボランティア団体とも協力しながら取り組み、公共施設への生理用品の常備、問題を抱える人が一括して相談できる窓口の設置を求めてきました。
共産党と出会う
議会が取り上げることも大事だと考え、議員に働きかける中で地元の共産党市議に出会いました。
実際に議会で質問してくれたり、自治体への要望に同席してもらうなど、力になってくれて、それもきっかけで入党に至りました。経験を生かして、党内でジェンダー学習会の講師もつとめました。
相談活動の仕事を通じて、「民間ではやりきれないことがたくさんある」と感じたのも事実です。
コロナ禍に輪をかけて貧困が広がり、一人ひとりの暮らしが脅かされている中で、もっと政治が果たすべき役割があるのではないかと感じたのも、出馬を決意したきっかけでした。
自分が経験したこと、現場の声を県政に届けたい。個人の尊厳が大事にされ、安心して暮らせる茨城をつくるために頑張りたいと思います。
さの・たいち
1968年生まれ。産業カウンセラーとして労働者の相談活動に従事。現在、党市ジェンダー平等推進室長。
(「しんぶん赤旗」2022年9月17日付より転載)