クローズアップ 水道料金 大幅値上げの危機 市民団体の署名広がる 茨城県南
茨城県龍ケ崎市、牛久市、取手市と利根町の水道料金が、来年度から大幅値上げとなる危機にさらされています。コロナ禍で市民生活が疲弊する中、さらに追い打ちをかける値上げは許されません。「水は命の源。値上げはやめてほしい」と署名運動も広がっています。
(茨城県・高橋誠一郎)
3市1町で構成する茨城県南水道企業団(企業長・藤井信吾取手市長)は7月1日の企業団議会で、「2022年度におよそ23%の料金改定が必要」(家庭で一般的な20mm口径で月平均16立方メートル使用)と説明しました。
示された資料では、「その後も財政状況に応じて、おおむね5年ごとに料金を見直していく必要がある」としており、今後のさらなる値上げに言及しています。
企業団は昨年12月、来年度に現行の平均23%、26年度に現行の平均34%の値上げが必要だとする「水道運営審議会」の答申を受けましたが、今回の改定は答申通りの値上げ幅です。
単身世帯1.4倍
新たな改定で試算すると、4人家族の世帯(20mm口径で月24立方メートル使用)の場合、これまでひと月4,340円だった水道料金は5,880円になり、約35%の大幅値上げ。
単身世帯(20mm口径で月10立方メートル使用)では、ひと月1,400円が1,960円になり、40%の値上げです。子育て世帯などへの影響は必至です。
「コロナ禍で料金を減免する自治体も出ている中、大幅値上げは問題です」。
3市1町で署名活動を展開している、「水道問題を考える会」の鈴木カヅミさん(75)=牛久市=は憤ります。
「考える会」は値上げ中止などを求めて、6,775人分の署名を企業団議会に提出しました。
鈴木さんは、「企業団は直接住民に値上げを一切説明しません。私たちが全戸配布したチラシで初めて知ったという住民もたくさんいました。値上げすれば子育て世代に大きな負担になる。若い人たちからも署名が集まっています」と話します。
先々まで予定
取手市で署名に取り組む「考える会」の武藤千鶴子さん(76)は、「県外から引っ越してきた市民で、水道料金が高すぎて、これまでの2か月分の料金がひと月に請求されるという声も聞く。今回の改定では、先々までの値上げも予定されている。水道は命の問題です。さらに署名を積み上げたい」と言います。
企業団議会の伊藤悦子議員(日本共産党龍ケ崎市議)は、「過大な人口予測のもとで、市民が使わない水まで負担させられている。市民に値上げを押し付けているが、そもそも国や県の責任であり、是正すべき。生活圧迫への懸念の声も集まっており、理不尽な大幅値上げ中止を求めていきたい」と話しています。
(「しんぶん赤旗」2021年7月10日付より転載)