私学助成の新評価基準 成績で配分を「差別」 茨城私教連「従来の算定に」

茨城県は今年度から、私立学校への経常費補助の配分を定めた「私立高等学校経常費補助金配分基準」を改定し、大学進学や部活動の実績に応じて補助の配分を決める仕組みを導入しました。
学校現場からは、「教育基本法の理念に反する」などと批判の声が上がっています。

大学への進学実績などに応じて経常費補助の点数配分を行うと示した、県から私立学校への「通知」

大学への進学実績などに応じて経常費補助の点数配分を行うと示した、県から私立学校への「通知」


県はこれまで、経常費の補助配分を生徒・教員数などに応じた「一般分」と、スクールカウンセラーの有無など学校独自の取り組みに応じて算定する「特別分」を合算し、算出していました。
今年度から、「特別分」の評価に難関大学への進学や部活動の全国大会での入賞実績など、50項目の新たな評価基準が設けられ、学校の“成績”を重視する基準に改定されました。
これまで、「特別分」の基準は「一般分」と合わせたうちの2%でしたが、今年度からその割合を毎年4%ずつ引き上げ、2023年度に20%を目指すとしています。
県私学振興室の担当者は、基準の改定を「私立学校での特色ある教育の推進が目的だ」と説明。
50項目の基準については、「随時見直しを図ることも検討している」と述べ、変更も示唆しています。
教育現場からは改定基準の見直しを求める声が上がっています。
茨城県私立学校教職員組合連合(茨城私教連、前田安生中央執行委員長)は、「生徒の成績や結果を点数化・現金化するやり方で教育的配慮に欠けた差別だ」とし、12月4日に県に質問状を提出。
結果を出さなければ経常費の補助が削減される仕組みに、「私学の自由や自主性を尊重しているとはいえない」、「進学する大学によって差別があるのは憲法違反だ」と主張しています。
茨城私教連の横須賀健二書記長は、「子どもたち一人ひとりが、さまざまな経験を通して成長を保障できることが私立学校の社会貢献になっている」と力説。
「進学率が低いからといって、学校が差別されるのはおかしい。全国で茨城県だけの制度。決してプラスにはならない」と指摘し、従来の算定方法に戻すよう求めています。

(茨城県・高橋誠一郎)

(「しんぶん赤旗」2019年12月17日付より転載)

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