堤防整備後回しは不合理 常総水害訴訟で原告側 水戸地裁

2015年9月の関東・東北豪雨で、鬼怒川が氾濫したのは国の河川管理に不備があったためだとして、茨城県常総市の被災住民らが国に損害賠償を求めている裁判の口頭弁論が11月12日、水戸地裁(阿部雅彦裁判長)で開かれました。

原告代理人の只野靖弁護士は、堤防が決壊した上三坂地区について、以前から決壊の危険があったにもかかわらず整備を後回しにしていたとし、「国は早く取りかかるべきだったが、優先度が低い場所を整備していた」、「安全性の余裕がない上三坂地区を後回しにしていたのは不合理だ」と指摘しました。

若宮戸地区の中村明久さん(47)が陳述。小学校と保育園に通う子ども3人を市外の親類宅に預け、妻と2人で自宅の片付けで往復した被災当時を振り返り、「自宅は床上110センチまで浸水し、大規模半壊の認定を受けた。思い出が詰まった家だったのでショックで、将来の不安を感じた」と訴えました。

若宮戸地区で自然堤防の役割を果たしていた砂丘林が掘削され、豪雨で越水したことについて、河川管理区域の指定を怠った国の不備を指摘し、「(水害は)人災だ」と述べました。

次回は来年2月25日に開かれ、結審します。

(「しんぶん赤旗」2021年11月13日付より転載)

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