2015年常総水害の記録集発行 被災住民有志

「被災者の傷は癒えるものではない」─。
2015年9月に発生した関東・東北豪雨が9月10日で丸6年を迎えました。被害の実相を伝えようと、被災した住民の有志が記録集『被害者主人公の活動~6年の軌跡』を発行しました。

(茨城県・高橋誠一郎)

鬼怒川の堤防決壊で、茨城県常総市は市内の3分の1が浸水。約8,000世帯が浸水被害を受ける大規模災害でした。
記録集は当時の被害状況のほか、支援物資の提供などを行ったボランティア組織「吉野サポートセンター」や「常総水害・被害者の会」の活動、国に河川管理の不備を訴え、損害賠償を求めてたたかう裁判を紹介。

浸水米への補助、大規模半壊以上でなければ支給されなかった支援金を半壊でも認めさせた住民運動の成果も記録されています。

執筆者の1人で、市内で生花の生産販売を手がける高橋敏明さんは、「施設や農機具などを全て失い、途方に暮れていたが、『頑張らなくちゃ』と再建に向け一歩ずつ進むことができた。まだ途上ではあるが、少しずつ当時の状況に戻りつつある」と話します。

「お店を再開したが、借金を抱え返済に困る中、必死になって頑張っている人がいる。6年たっても終わったことにはできない。薄れる記憶を記録する必要がある」と話すのは、発行に関わった「被害者の会」共同代表世話人の染谷修司さん。
「みんなの知恵を集め、1年がかりでまとめた。自然災害はどこで起きてもおかしくない。被災者の体験を語り継いでいきたい」と力を込めました。

(「しんぶん赤旗」2021年9月11日付より転載)

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