容器内物質26年間未開封 茨城 原子力機構作業員被ばく
日本原子力研究開発機構の大洗研究センター(茨城県大洗町)で、核燃料物質を点検中に作業員が被ばくした事故で、飛散した核燃料物質の容器は1991年から26年間、開封された記録がないことが6月8日、原子力機構への取材で分かりました。
原子力機構によると、問題の核燃料物質は約300グラムのウラン・プルトニウム混合酸化物の粉末。1991年から、茶筒ほどの大きさのふたつきのポリエチレン容器に入れ、その外側を2重のビニール袋で密封したものを金属製の円筒容器に収めていました。しかしそれ以降、金属容器を開封して内部を点検した記録は確認できていないといいます。
今回の作業は、内容量を確認するため、金属容器を開けての作業となりました。6月6日には5個の容器を確認する計画で、飛散したのはこの日の5個目の容器でした。他の施設で見つかった核燃料物質の不適切な管理を受けて、原子力規制委員会が点検を指示していました。
同様の容器は80個あり、同じ種類の核燃料物質が収められているのは、うち20個といいます。
今回事故が起きた燃料研究棟は、高速炉用燃料の研究開発を行う目的で、74年に竣工(しゅんこう)、プルトニウムを使った試験は77年に始まっています。2013年に廃止の方針が出され、廃止措置の検討が進められていました。
また、作業員の内部被ばくは、4人と分かりました。アメリシウム241の内部被ばくが確認されたのは1人です。しかし、特にプルトニウム239については4人の検出限界は2200~1万4000ベクレルと比較的高く、これ以下の被ばくは否定できません。
(「しんぶん赤旗」2017年6月9日付より転載)