常総水害2カ月 避難所生活なお232人 公的支援 拡充は急務

自宅再建 不十分な補助金で重い自己負担

9月10日に、関東・東北豪雨による鬼怒川の堤防決壊で住宅被害だけでも約6,000戸など大きな被害を出した茨城県常総市。
被災から2カ月たった現在も、232人(11月12日現在)が体育館や公民館で厳しい避難所生活を続けています。
住宅など生活再建への国、自冶体の支援充実が急がれます。

(笹島みどり、佐藤つよし)

「避難所では、なんといっても食事がひどかった。管理栄養士を置いてほしいとみんなで要望したが改善されなかった」と語るのは、堤防の越水で若宮戸地区の自宅が浸水し、最近まで市内の体育館で避難生活をしていた男性(67)です。
食事は、水害後1カ月間はボランティアの炊き出しでしたが、その後はコンビニ弁当に変わりました。
高齢者が取り残され、体調を崩す人が増えているといいます。

市が10月下旬、市内の避難所6カ所で生活している130世帯を対象に実施した聞き取り調査では、避難所から退去の見通しのない世帯は73世帯(56%)。
その理由は「大工・修理の遅れ」が40世帯(54.8%)、「資金繰り」が13世帯(17.8%)。

市では、「意向調査の内容をもとに、(旅館やホテルの借り上げなど)2次避難所の検討もしなければならない」(社会福祉課)としています。

県は11月6日、国の制度に上乗せして、県・市の負担で▽被災者生活再建支援法で補助対象外の半壊世帯に25万円を補助▽災害救助法に基づく「住宅応急修理」の所得制限をなくし半壊世帯すべてに56万7000円を補助▽農業機械・施設の取得・修理費の6割(国の3割含む)を補助▽中小企業の事業再開に必要な経費に上限50万円を補助─の方針を明らかにしました。

市内の体験型学習施設に避難している男性(70)は、半壊の自宅の補修をするために見積もりを取り始めました。
しかし、見積価格は、県の上乗せした補助金を当てにしても重い自己負担が必要な金額です。
「先のことを考えると暗くなってしまう。年内には自宅で住めるようになり、正月を家で迎えたいんだが…」

日本共産党の山中たい子県議団長は、県の支援策について、「住民要求が届いて、県の対策は一歩前進しましたが、まだ切実な要望を満たすものではありません。国の対策強化も欠かせません」と話し、引き続き、住民とともに支援策の拡充を県や国に求めて全力を挙げるとしています。

実態に合わぬ制度を見直し、国は抜本策とれ 塩川鉄也衆院議員の話

常総市の豪雨被災者支援の充実を国に繰り返し求めてきた日本共産党の塩川鉄也衆院議員に聞きました。

体育館や公民館などでの長期の避難生活は、健康やプライバシーなどの面からもあり得ません。
旅館やホテルの借り上げなどを直ちに行い、健康を損なう体育館・公民館での避難生活を一刻も早く解消することが国、県、市の最優先の課題です。

自宅に戻れない理由は、資金面の不安から住宅再建の見通しがたたないことです。
実際に水に浸かった畳や床、壁などのリフォームには、多額の費用が必要です。
県が、被災者生活再建支援法の対象外だった半壊世帯への25万円支給や、所得制限により災害救助法の対象とならない半壊世帯に対する住宅応急修理の支援策を決めたのは、被災者の運動の成果です。

県の支援策は国の制度の不備を示すものです。
今こそ国として、実態に合わない制度を見直し、抜本的な被災者支援策の拡充を行うべきです。

被災者聞き取り 切実な声が次々
吉野サポートセンター事務局長 稲葉修敏さん

日本共産党茨城県委員会と県内の民主団体は常総市に吉野サポートセンターをつくり、ボランティアによる被災者支援などに取り組んでいます。
事務局長を務める稲葉修敏さん(党県副委員長)に、被災地の現状について聞きました。

センターは「被災者のためにできることをやろう」との思いで、党と民主団体が共同し、災害発生から約1週間後の9月19日に立ち上げました。
2カ月でのべ850人のボランティアが全国から駆けつけてくれて、浸水した畳や家財の撤去、床下の泥出し作業など140件の要望に応えてきました。

被災者を励まし、生活再建の力になっているのは、支援のお米を配りながら、困っていることは何かを聞きとる活動です。

「半壊世帯にも公的な補助をしてほしい」「浸水した収穫後のコメを、過去の実績を反映するなどして、どうにか支援してほしい」などの切実な声をまとめ、共産党の議員とともに市、県、国に要請してきました。

現実に政冶を動かすには、被災者自らが声を上げ発信することが欠かせないとの思いで、「私たちの声を聴いてください」という緊急集会を11月3日に開きました。
多くの区長さんも集会に賛同し、案内ビラの配布にも協力してくれ、集会には市長も参加しました。

その後、県や市が独自の支援策をつくる方向で動き出していることがわかり、喜びの声が寄せられていますが、被害の大きさや被災者の負担からみればまだまだ不十分です。

これまで経験したことのない豪雨や地震が相次いでいます。
国の災害支援は、より柔軟で、被害の実情に見合ったものに改善すべきです。
引き続き、被災者に寄り添い、生活や生業の再建を進めるために力を尽くします。

(「しんぶん赤旗」 2015年11月14日付より転載)


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